狸谷山不動院の階段や各種見どころを解説
狸谷山不動院の歴史
狸谷山不動院は、京都市左京区一乗寺にある真言宗修験道大本山の仏教寺院です。観光客にはあまり知られていないスポットですが、地元の人からは「タヌキダニのお不動さん」と呼ばれ、交通安全、厄除け、ガン封じの祈願で知られています。
平安時代・桓武天皇
起源は平安時代に、桓武天皇の勅願により、鬼門である都の北東に位置するこの場所に鬼門封じとして、不動尊を安置したのが始まりといわれています。
御本尊の咜怒鬼(たぬき)不動明王では、漢字の如く、鬼を叱りつけるような恐い表情をしています。
「タヌキ」という名前なので、境内にはタヌキの置物がたくさん並べられていますが、「タヌキ」の語呂合わせで「他を抜く」とされスポーツ選手や芸能人の信仰も集めています。
江戸時代・宮本武蔵
また、江戸時代には剣豪、宮本武蔵が吉岡一門との決闘を前に滝行で心の剣を磨いたとされる武蔵の滝があり、修行場としても信仰されていました。
その後享保3年(1718年)に木食正禅によって創建されました。明治維新後の廃仏毀釈によって一時荒廃していましたが、昭和22年(1947年)に寺地が拡張され、本殿も造営されました。
見所
一乗寺の坂を登った奥にある狸谷山不動院は、あまり観光客は多くありませんが、見どころの多い寺院です。
まず、本殿へ向かうには「健康階段」と言われる250段の石段を飲んらなくてはいけません。健康階段という由来は、山間にあるため傾斜が急で登ると元気になりそうだということから付けられたそうです。
タヌキダニというだけあってその周辺から色々な表情と形のタヌキの信楽焼が無数に並べられています。その間に阪神の石碑も見られます。スポーツ選手の信仰が厚いことが伺えます。
白龍弁財天
登り始めるとすぐにまるで伏見稲荷大社の千本鳥居のような紅い鳥居がたくさん立ち並んでいます。これは白龍弁財天で、享保3年(1718)に木食上人参籠修行の時に「一切衆生の苦難、恐怖を除き、財宝、福利を与え給え」との誓いをもとに奉安されたもの。
七福神
階段を上がっていくと七福神の像があります。
迎え大師
白龍弁財天の先にあるのが迎え大師です。名前の通り参拝者をお迎えする大師像。大師というのは弘法大師のことです。弘法大師は全国を行脚している事にあやかり足腰の健康を願うとのこと。この像には「健脚わらじ」という小さなわらじが付いています。
光明殿(大師堂)
250段の階段を登るのは大変ですが、弘法大師を祀る大師堂などがあるので、息抜きになります。大師堂の周りには多くの仏像があり、四国八十八ヶ所霊場のお砂踏があります。このお堂の周りを歩いていくと遍路の功徳がいただけるとか。
本殿 不動明王
階段を登りきると本殿が見えます。本殿は清水寺とよく似た舞台建築になっていて、御本尊が安置されている洞窟を囲むような形で建てられています。本殿に登るにはここからまた少し階段を上がらなくてはなりませんが、階段は2つあり、44段の少し急な階段の「男厄坂」、33段の緩やかな階段の「女厄坂」があります。
登りきると山から迫り出すように建てられた懸崖造りの本殿からは京都市内を山の間から見ることができます。
狸谷山不動院は不動明王の大きな数珠があり、見どころの一つと言えます。不動明王と狸谷山不動院の関係は、1718年(享保3)に木食正禅養阿上人が、狸谷霊山北側斜面の洞窟に石像不動明王を安置したことが始まりだとか。その後に現在の本堂が建てられたようです。
狸谷山不動院は癌封じのお寺で、正月中、お不動様にお供えしたお酒を笹酒として飲める催し物もあるようです。青竹にお酒を入れ、護摩の火で温め、輪切りにした青竹の盃でお酒を飲む事により、竹のクロロフィルやビタミンなどが癌を抑制するんだとか。
狸谷山不動院では本堂が大変見応えがありますが、歴史好きな人には宮本武蔵修行の滝も見所です。宮本武蔵が吉岡一門との決闘前に滝行をしたと言われる場所で、現在は滝行はできませんが、己の煩悩を洗い浄める滝として参拝される人が多いです。
宮本武蔵修行の滝のそばには三社明神とウスサマ明王があります。三社明神は衣食住愛の神で、ウスサマ明王は、あらゆる不浄を清める功徳があることから「トイレの神様」として信仰されています。
狸谷山不動院のイベント
1/28 初不動
狸谷山不動院で、有名な行事が毎年1月28日に行われる「初不動」です。一年で最初の縁日で、ガン封じにご利益があるとされる笹酒無料接待があり、護摩の火で温めた笹酒をいただけます。
7/28 狸谷山火渡り祭
また、毎年7月28日には「狸谷山火渡り祭」が行われます。午後7時ごろから祈祷が行われ、その後本殿前で護摩を焚き上げます。そして、護摩の残り火で道を作り、その上を素足で渡る「火渡り行」という無病息災を祈る荒行です。
法要
定例法要としては、元旦を除く毎月1日におついたちという護摩祈祷、毎月3、16、28日の午前7時より本堂で朝護摩法要を行う狸谷山朝参りと、不動明王の尊前にて護摩が焚かれる護摩木祈願祭が行われます。
秋・紅葉
狸谷山不動院は詩仙堂・野仏庵という紅葉の名所が近くにあるため、そこと比較すると紅葉を見せるような造りになっておらず、山が紅葉する程度の紅葉の楽しみ方になります。
ただし狸谷山不動院に行く途中の道には、とても紅葉が綺麗な場所もあります。紅葉を楽しみに行くのではなく、狸谷山不動院に行くついでに紅葉を楽しむと言う意識で行った方が、観光的にはズレがないと言えそうです。
その他の見どころ
ひとけのない道
詩仙堂や野仏庵、八大神社の坂を上がっていくと人気のない広い道が続き、狸谷山不動院への道が続きます。静かな場所を観光したい人には良い場所で、秋には一部紅葉が綺麗です。
狸谷山不動院祈祷殿
狸谷山不動院にいく途中に祈祷殿があります。祈祷殿の音や声が聞こえることもあり、静かな道に響き渡る祈祷が本格的な雰囲気を感じられます。祈祷殿には駐車場があるので、車でも行けるのは便利でしょう。
あとがき
狸谷山不動院のある一乗寺には他に様々な観光スポットがあります。別ページにまとめたので、京都観光の参考にしてみてください。