南禅寺の最勝院を紅葉や歴史を中心に解説
最勝院という名前の寺院は複数存在していますが、そのほとんどが塔頭と呼ばれる本寺の境内にある末寺です。京都にある最勝院も平等院鳳凰堂の境内にある最勝院や、南禅寺の塔頭である最勝院など、各所に最勝院という名前のお寺があります。ここでは南禅寺の最勝院を紹介していきます。
南禅寺の最勝院の歴史
創建については不明ですが、鎌倉時代に駒道智大僧正が、晩年この地に隠棲したことが始まりと言われています。
鎌倉時代末期の文永年間(1264年から1275年)に亀山天皇が、この地に離宮を造営されました。その時に土地の鎮守として駒道智大僧正を祀ったとされています。明治時代まで、最勝院は南禅寺の社務所の辺りにあり、最勝院般若殿と呼ばれていましたが、1915年(大正4年)現在の地に移築されました。
境内背後の山峡は、鎌倉時代より「神仙佳境」と呼ばれ、霊地として知られていたそうです。
関連人物
駒道智大僧正
関白、九条道家の子で鎌倉時代の僧侶です。幼い頃に比叡山で修行をし、天台密教を習得しました。その後、三井寺の管長になり、かつて天台宗だった禅林寺の住持にもなりました。
晩年は最勝院に隠棲し、言い伝えによると1266年(文永3年)3月3日に密教法力によって、白馬にまたがると生身を天空に隠されたと言われています。「駒」は古くは「子馬」の意味であったそうで、駒大僧正と呼ばれる由来はこの言い伝えによるものだったとされています。
見どころ
最勝寺は、とても景観の美しい寺院です。特に晩秋の時期は紅葉が見事で、境内はどこも美しく色付き大変見応えがあります。南禅寺は全体的に紅葉が美しいので、最勝院や天授庵を含め、塔頭も合わせて紅葉を楽しめるのが魅力でしょう。
水路閣
最勝院の参道横には、南禅寺の境内の真上を通り、蹴上駅付近まで続く水路閣があります。この水路閣はレンガ造りのアーチ形状の構造で全長93メートルあり、その大きさと周辺の美しい自然と調和し、見応えがあります。建設は1888年(明治21年)。南禅寺境内の南禅院山門の西側には水路閣に上ることができる階段と坂があるので、水路閣の近くまで行くことができます。
縁結びの松
南禅寺の境内から水路閣をくぐって奥まで進んで行くと山門があります。山門をくぐって見える大きな松は「縁結びの松」と呼ばれています。この木は百日紅の木の股に松の種が落ち、そのまま松が成長し、一体となっているとても珍しいものです。そして、その百日紅は樹齢300年、松は樹齢100年と言われていて、それほど長い時間2つの木が一体となっていることから縁結びにご利益があるとされているそうです。紅葉の時期には松とその奥の紅葉のコントラストがとてもきれいです。
本堂
縁結びの松の前にあるのが本堂です。本堂には福徳円満大黒天と払災殖福不動尊が安置されています。
奥の院
本堂の裏手にも見事な紅葉が広がり、奥の院へ繋がる階段があり、その階段を登って行くと奥の院があります。駒大僧正厨子宝殿があり駒大僧正が祀られています。そして、その横には駒ヶ滝地蔵大菩薩が祀られた祠があります。
駒ヶ滝
最勝院といえば、駒ヶ滝もよく知られていますが、駒ヶ滝はさらに奥に行った場所にあります。ここでは滝行をすることができるそうです。
基本情報(料金・開閉時間・アクセス・最寄り駅)
住所:京都府京都市左京区南禅寺福地町86-2
電話番号:075-771-1891
拝観料:無料
アクセス:京都市営地下鉄蹴上駅下車、徒歩約13分
周辺観光スポット
南禅寺の周辺には銀閣寺や哲学の道、永観堂など有名な観光スポットがたくさんあり、歩いて回ることができます。春の桜の時期、秋の紅葉の時期には景観がとても美しい場所です。最勝院を始め、南禅院・天授庵・南禅寺奥の院など、南禅寺自体に複数の紅葉スポットがあるので、それらを巡るだけでも紅葉が堪能できます。