熊野若王子神社は哲学の道の南端にある京都三熊野の一つ
熊野若王子神社は、熊野神社、新熊野とともに京都三熊野のひとつに数えられ、親しみを込めて「にゃこうじさん」とも呼ばれています。
読み方は「くまのにゃくおうじじんじゃ」と読みます。
哲学の道の南端にあって、桜や紅葉のスポットとしても知られています。
縁結び、厄除け、開運、学業上達にご利益があるとされていますね。
祭神として、国常立神(くにとこたちのみこと)、伊佐那岐神(いざなぎのみこと)、伊佐那美神(いざなみのみこと)、天照大神(あまてらすおおみかみ)をお祀りしています。
熊野若王子神社は永暦元年(1160年)に、後白河上皇が紀州熊野権現を勧請し、祈願所とされた正東山若王子の鎮守でした。
熊野若王子神社の社名の由来
社名は天照大神の別称「若一王子」に因んでこのように名付けられたそうです。
熊野若王子神社の関連人物
足利尊氏・義政の花見の場
足利尊氏や義政が花見の宴を催したことでも有名で、現在も東方山中に瀑布があり、奇岩老木も多く、滝があり、夏は納涼、秋は紅葉の名所として知られています。
豊臣秀吉により再興
社殿は、応仁の乱によって荒廃しましたが、豊臣秀吉によって再興され、社殿と境内が整備されました。
以前は、本宮、新宮、那智、若宮の四棟からなっていましたが、昭和54年(1979年)に一社相殿に改築されました。
新島襄・八重の墓が近隣にある
境内には、末社として恵比須神社及び三解社が祀られ、背後の若王子山頂には、同志社大学の創立者新島襄の墓があります。
後白河法皇
また、境内を奥に進み、しばらく細い道を登ると滝があります。
かつては熊野詣をするときにこの滝で身を清めてから出発していたそうです。
34度も熊野詣をした後白河法皇もこの滝で身を清められたと言われています。
熊野若王子神社の見どころ
熊野若王子神社の見どころは、言われないとわからない
京都府で最も古い樹齢400年の梛(なぎ)の木です。
鳥居の右手前に植えられていてくれ、歴史のあるこの梛の木は、紀州熊野詣や伊勢参宮などのときに、お祓いの禊の木として使われていたと言われています。
現在でも梛の木で作った御守りは「あらゆる苦難をなぎ倒す」ご利益があると言われ、信仰を集めています。
近隣の見どころでは、新島襄の墓・後白河法皇が立ち寄った滝と言えますが、どちらも見どころと言えるかはその人次第と言える場所です。
理由はお墓であること、滝も小さくひっそりとあるからです。
ただし両方とも山・森林のような場所なので、空気感は良い場所と感じられると思います(墓地ですが)。
桜花苑
それほど広い境内ではありませんが、神社を出て裏山を登って行くと「桜花苑」という場所があり、桜の季節には京都市内を見下ろす景色と桜が合わさってきれいです。
花見客はほとんどが哲学の道の方へ行ってしまうので、人も少なく桜を楽しめる穴場のスポットです。
陽光という品種の桜で、鮮やかなピンク色と大輪が特徴です。
陽光という名前に相応しく、西日や夕日によく映えます。
陽光の桜越しに見る夕日が絶景です。
4月の第1日曜日には熊野若王子神社で、桜花祭典が行われます。
大正琴を観賞することもできます。
ただし、片隅に大量にゴミが捨てられているなど、残念な部分もあることや、桜の季節以外に行くと何もない場所なので、期待せずに観光するのがポイントでしょう。
鳥の多いスポットでもあるので、簡易的なバードウォッチングにはいいかもしれません。
熊野若王子神社のおみくじ・おまもり
そして熊野若王子神社を参拝したらオススメしたいのが、お守りとおみくじです。お守りはあらゆる困難をなぎ払ってくれる梛のお守りを。梛と凪をかけて船乗りの方にも信仰されているそうです。
また、熊野若王子神社のおみくじは普通のおみくじとは違うことでも知られています。おみくじといえば社務所の窓口にある筒状の箱を振ったり、箱の中から一枚抜き取ったりのスタイルが一般的ですよね。熊野若王子神社の「マッチおみくじ」は、見た目は四角い小さな箱ですが、箱の中からマッチ棒が出てその色で吉凶を占うというものです。
何度でも楽しめるので、持って帰って、今日の運勢を占うことができます。
八咫烏とは
もうひとつ、八咫烏(ヤタガラス)にちなんだおみくじもあります。
八咫烏(ヤタガラス)は日本神話(古事記・日本書紀など)に出てくる架空の3本足のからすですが、熊野権現の神使とされています。熊野若王子神社の屋根上や、新熊野神社の本殿にも八咫烏の像がありますが、細かい部分を見てみると二本足のものありますね。八咫烏は、神武天皇が戦の時に熊野山中で道に迷っていると、3本足のカラスが現われ道案内をして、勝ち戦に導いたと伝えられていることから、勝利の神として信仰されています。
ちなみに神武天皇は天照大神の血を引き、最初の天皇になった人物です。なので八咫烏も天照大神が遣わした鳥です。これにより神武天皇は八咫烏を「幸を運ぶ鳥」と言ったのだとか。
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