天龍寺の歴史と5つの見どころを、特徴を踏まえてわかりやすく説明

京都・嵐山にある天龍寺の見どころの一つに、曹源池庭園があります。ここでは曹源池庭園の写真と共に、由来や人物と歴史などの知識を簡単に解説していきます。
1. 曹源池庭園は夢窓国師が作庭した特別名勝
曹源池庭園の読み方は「そうげんちていえん」です。夢窓国師が作庭し、今もなお当時の面影をとどめていると言われています。曹源池庭園は日本で初めての史跡・特別名勝に指定されました。
夢窓国師とは、下記の通り。
- 夢窓疎石(むそうそせき)と言われる臨済宗の高僧
- 鎌倉時代・室町時代の重要人物の一人
- 足利尊氏が師と仰ぐなど、足利尊氏や後醍醐天皇との関わりが深い
- 京都では苔寺で有名な西方寺の庭も作っている
- 観応の擾乱で調停も行う
- 七朝帝師と称されている
七朝帝師とは、歴代天皇から7度も国師号を賜与されたことからついた呼び名。
(夢窓国師・正覚国師・心宗国師・普済国師・玄猷国師・仏統国師・大円国師)
夢窓疎石が作庭した庭園に関しては、京都では西方寺の庭園と、天龍寺の曹源池庭園の2つがあります。自然の景観を活かし、石組などで禅の本質を表現しようとしたとされ、曹源池庭園でも嵐山を借景とし、曹源池中央正面の石組みで龍門の滝を表現するなど、夢窓国師の特徴が感じられます。
2. 曹源池庭園の由来は
- 曹源池庭園の由来は、曹源池の名前の由来は池の中から「曹源一滴」と書かれた石碑が現れた事が由来
- 龍門の滝の由来は、鯉が黄河にある龍門の滝を乗り越えると龍になるという「登龍門の故事に倣ったのが由来
- 石橋は日本最古の石橋組で、左から文殊菩薩・釈迦如来(中央)・釈迦三尊石と云わっている
このように曹源池庭園は、知識があると楽しみ方が増えるなどの面白みもあります。
3. 屋内の大方丈・小方丈から眺める曹源池庭園
大方丈の廊下の下で人が曹源池庭園を眺めるのがよく見る風景です。小方丈の畳から曹源池庭園を眺めることもできるなど、屋内からの眺めも楽しめるのが天龍寺の風情のある造りです。
4. 屋外で楽しめる曹源池庭園
曹源池庭園は大方丈や小方丈から眺める楽しみ方もありますが、歩いてみると、季節ごとに花が複数の種類植えられており、美しい景観の中を散歩することができます。
大方丈の前から小方丈、多宝殿へと進んだ先に曹源池庭園があり、歩いてみると建物が無く苔の緑の中に花が多々咲いているので、お寺らしい庭園の雰囲気を味わうことができます。境内も広めなので、思ったよりも歩きながら楽しむことができると思います。
5. 高台から楽しめる曹源池庭園
庭園内は高低差もあり、庭園の中を歩いていくと見晴らしの良い高い道を歩くこともできます。ここからは天龍寺を見下ろすことができ、嵐山の風景を見渡すことができます。賑わって人が多い大方丈付近とは違って、遠景を楽しみながら少し静かな雰囲気を楽しむことができる場所です。
天龍寺の曹源池庭園を解説してきましたが、天龍寺は広く、見どころもたくさんあります。
下記に見どころをまとめたので天龍寺について知りたい人は、参考にしてください。
天龍寺についてさらに詳しく(押すと開閉して読めます)
天龍寺は嵐山にある寺院で、小さな寺院が集まってできている世界文化遺産の一つ。曹源池庭園という有名な庭や雲龍図、達磨図などが有名です。渡月橋や嵐電嵐山駅から近く、京都の観光スポットとしても人が多く来る場所です。
1. 天龍寺の歴史
1339年(暦応2年)に室町幕府初代将軍・足利尊氏が後醍醐天皇の霊を弔うために、夢窓疎石を開山として、天龍寺を創建しました。また、室町時代には足利将軍家と桓武天皇ゆかりの禅寺として京都五山の第一位とされた格式の高いお寺です。
- 天龍寺は、嵐山にある臨済宗天龍寺派大本山の寺院
- 山号は、霊亀山
- 寺号は、霊亀山天龍資聖禅寺(れいぎざんてんりゅうしせいぜんじ)
- 日本で最初に史跡・特別名勝に指定されたお寺
- 1994年(平成6年)12月には古都京都の文化財として、世界文化遺産に登録
- 創建以来何度も大火に会い、創建当時の面影はとどめていない
- 現在の諸堂は明治になって再建されたもの
2. 龍雲図
法堂の天井に描かれた龍雲図は、特別参拝の期間だけにしか見られないので、タイミングが合えばぜひ見ておきたいポイントです。平成9年(1997年)加山又造画伯によって描かれました。建物は古いですが、雲龍図は意外と新しいので、歴史を感じるという部分とは少し違うかもしれません。
しかし、直径9メートルの二重円内に墨色で描かれた八方睨みの龍は躍動感があり、とても迫力があります。確かに八方睨みというだけあって、どこに行っても目がこちらを見ているように感じられました。ただし、中は雲龍図と掛け軸のようなものと、足利尊氏の像という3点があるだけの建物なので、期待しすぎは禁物。
3. 曹源池庭園
曹源池庭園の読み方は「そうげんちていえん」です。夢窓国師作庭当時の面影をとどめていて、日本で初めての史跡・特別名勝に指定されました。曹源池の名前の由来は池の中から「曹源一滴」と書かれた石碑が現れた事が由来となったといわれています。
曹源池庭園は大方丈や小方丈から眺める楽しみ方もありますが、歩いてみると、季節ごとに花が複数の種類植えられており、美しい景観の中を散歩することができます。
4. 大方丈
大方丈には雲龍の襖絵があり、これを描いたのは物外道人という人物で、昭和32年の作品です。天龍寺第8代管長である関牧翁老師の友人という関係でこの襖絵が描かれたようです。
この雲龍の襖絵など立ち入り禁止部分はあるものの、大方丈はある程度入って歩くことができます。また、大方丈の廊下の下で人が曹源池庭園を眺めるのがよく見る風景です。
この雲龍の絵や曹源池庭園がある方角が方丈では裏に当たる西側です。また、大方丈には本尊の釈迦如来坐像があり、この仏像は平安時代後期の作で、天龍寺内では最も古い仏像といわれています。
5. 小方丈
小方丈は来客・接待・行事・法要など様々な用途に利用される場所で、ここからも嵐山や曹源池庭園を眺めることができます。また、壁には達磨図があり、庫裏(くり)と呼ばれる建物にも達磨図があります。
6. 庫裏(くり)と達磨図
庫裏は寺務所であり、台所の役割もある建物で、天龍寺の道をまっすぐ進んだ正面にある建物です。中に入ると住職・平田精耕(ひらたせいこう)の描いた達磨図があります。
- 達磨図の達磨(だるま)はもともとは南天竺国の第3王子
- 中国に渡り、禅をインドから中国へ伝えた人物
- 中国禅宗の開祖
「菩薩達磨」や「達磨大師」とも呼ばれ、日本のお寺でも達磨図や達磨大師ゆかりのお寺がいくつもあります。例えば天龍寺は足利尊氏ゆかりのお寺ですが、等持院も足利家ゆかりで達磨図があるお寺です。
7. 百花苑
天龍寺には曹源池庭園の他に、百花苑という庭園もあります。こちらは曹源池庭園よりは小規模ですが、季節によって花がいくつも咲いているので、もう一つの見どころと言えるかもしれません。そのまま進むと僧堂側の出口に出られ、竹林の小径や野宮神社の近くに出ることができます。
8. 参加可能な寺院行事
天龍寺は年間を通じて色々な行事が行われていて、参拝者が参加できる行事もあります。その中でも人気のあるものは坐禅会、龍門会、写経、節分会です。
- 坐禅会と龍門会は今の所予約不要なので、参拝のついでに参加することもできます。写経は予約が必要で、1000円必要です。習字道具などは不要です。坐禅会、龍門会、写経の開催日や申し込みはホームページから見られます。
- 節分会は2月3日に行われます。大勢の参拝客で賑わい、甘酒や樽酒がふるまわれます。豆まきは3回行われます。節分会の時には、天龍寺七福神巡りも開催されます。
9. 天龍寺の御朱印はハンコ式
天龍寺の御朱印はお土産屋で受け付けています。お土産屋の方に御朱印を依頼すると、赤と黒のハンコを押すだけで御朱印ができ上がります。なので即席な感じですが、時間がかからないメリットがあります。
10. 天龍寺の季節の見どころ
- 「梅」→ 寺院が並ぶ道に梅が植えられているので、梅の季節に行くと入り口から天龍寺までの道が華やかになります。天龍寺の中にも梅が少しだけあります。
- 「桜」→ 天龍寺は桜の名所でもあります。ソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤエザクラ、ヤマザクラなど約200本の桜の木があります。多宝殿前の枝垂桜は特に素晴らしいと言われています。
- 「紫陽花」→ 紫陽花に関しては、花天龍寺には庭の一部に紫陽花が咲きます。天龍寺の入口に「紫陽花見頃」のような告知などが出ますが、それほど大量の紫陽花があるわけでもないという印象。
- 「紅葉」→ 天龍寺の紅葉は、嵐山と亀山が背景にあり、境内にもたくさんの花や紅葉のきれいな木々がたくさんあります。多くの観光客で賑わう紅葉の人気スポットです。
11. 天龍寺の塔頭
天龍寺は塔頭が多くあり、自由に入れるところや、閉まっているお寺など様々です。塔頭とは主となる寺の分家的な小寺のことです。天龍寺の塔頭の中で定期的に特別公開されている塔頭は、宝厳院と高源寺があります。宝厳院は他の塔頭の並びではなく、天龍寺から少しだけ離れた場所にあります。」
12. 天龍寺を含むおすすめ観光ルート
天龍寺を含むおすすめ観光ルートは次の通り。
- 天龍寺→竹林の小径→二尊院→祇王寺→化野念仏寺→野宮神社→嵐山商店街
この他にも落柿舎や常寂光寺、清涼寺、大覚寺など嵐山にはいくつも見どころがあるので、時間を見ながら巡ると良いでしょう。
天龍寺へのアクセス情報
14. 天龍寺へのアクセス
- 住所:右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
- 休み:無休
- 時間:8:30~17:30、10/21~3/20は17:00
- 料金:庭園、高校生以上500円、小中学生300円、幼児無料
- 諸堂(大方丈・書院・多宝殿)、上記拝観料+100円
- 法堂(雲竜図)特別公開、上記拝観料+500円
バスでのアクセス
- JR京都駅から市バス28に乗り、嵐山天龍寺前で下車
- JR京都駅から京都バス73に乗り、嵐電嵐山駅で下車
- 四条河原町から市バス11に乗り、嵐山天龍寺前で下車
電車でのアクセス
- 京都駅(地下鉄)→烏丸御池駅→嵐電天神川駅→嵐山駅下車で天龍寺のすぐ側に到着します
- 京都駅(山陰本線)から→嵯峨嵐山下車→徒歩8分程度
天龍寺のまとめ
天龍寺の要点をまとめると下記の通り。
- 足利尊氏が後醍醐天皇の霊を弔うために建てたお寺
- 塔頭が多く、特別公開される塔頭もある
- 京都五山の第一位の格式がある
- 夢窓疎石が作庭した曹源池庭園が有名
- 雲龍図や達磨図も有名
- 嵐山商店街や渡月橋に近い
- 桜と紅葉の季節が美しい
以上が天龍寺の簡単な見どころです。観光の参考にしてください。