簡単にわかる建仁寺の歴史と見どころ

建仁寺の雲龍図襖絵 01. 京都のお寺

建仁寺の歴史がわかる3人の人物

建仁寺の法堂

建仁寺は臨済宗建仁寺派の大本山の寺院で、周りに14の塔頭が建ち並ぶ大きな寺院。1202年(建仁2)に栄西禅師が源頼家の援助で建てています。

  • 人物1. 源頼家
    京都で最初の禅寺で、鎌倉幕府第2代将軍・源頼家の援助により、宋の百丈山を模して建立。
  • 人物2. 栄西
    栄西禅師は日本に初めて禅をもたらした人物。中国から茶種を持ち帰り、喫茶を広めた茶祖。
  • 人物3. 蘭渓道隆
    創建当初は天台、密教、禅の三宗が学べる寺院でしたが、1262年(弘長2年)に宋から渡来した禅僧である、蘭渓道隆が十一代目の住職として入寺。それによって禅の作法や規則が強化され、禅道場になったという。

建仁寺の歴史 = 源頼家(援助)→栄西(開山)→蘭渓道隆(禅道場へと変化)→四頭茶会

栄西が茶を日本にもたらしたことにより、建仁寺は4/20に四頭茶会が行われます。着物姿で茶道をたしなむ人が大半という本格的な茶会のようですが、一般の人も茶研を入手できれば参加できるようですね。ちなみに京都では大徳寺なども茶で有名なお寺です。

建仁寺の特徴

建仁寺の基本的な情報は下記の通り。

  • 山号 : 東山
  • 本尊 : 釈迦如来
  • 開基 : 源頼家
  • 開山 : 栄西

寺号は建仁寺「けんにんじ」ですが、地元では親しみを込めて「けんねんさん」と呼ばれています。

建仁寺の境内通路

また、建仁寺は、室町時代には、格式高い五つの寺である京都五山の第3位となりました。ちなみに京都五山、鎌倉五山は下記の通りです。

  • 京都五山 = 天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺
  • 鎌倉五山 = 建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺

京都五山の別格として南禅寺があります。

建仁寺の洗鉢池

さらに、建仁寺は詩文や芸術に長けた僧を多く輩出し、学問面(がくもんづら)と称された寺院。京都では他にも下記のような呼ばれ方をしている寺院があります。

  • 大徳寺は茶面(ちゃづら)
  • 東福寺は伽藍面(がらんづら)
  • 南禅寺は武家面(ぶけづら)
  • 妙心寺は算盤面(そろばんづら)
  • 相国寺は声明面(しょうみょうづら)

建仁寺の見どころ

建仁寺 本坊

建仁寺の見どころは本坊から有料で入れる方丈周辺の屋内と、無料の境内部分に分かれます。無料の境内は建物や池、塔頭が多くあります。有料の屋内には庭園や風神雷神図屏風、雲龍図、双龍図などを始め多くの見どころがあるので、有料でもぜひ、観光する事をおすすめします。

見所1. 方丈の襖絵、大書院・小書院・法堂

建仁寺の方丈

建仁寺の見どころと言えば双龍図と風神雷神図屏風の2つが有名です。双龍図は大迫力の龍の天井画。風神雷神図屏風は歴史ある風神と雷神の絵に親みが湧く楽しさがあります。その他にも各部屋に襖絵などの見どころがあります。

  • 方丈には、雲龍図の他、様々な襖絵が描かれおり、写経が行えるスペースもある
  • 大書院には、陶製十六羅漢像や風神雷神図屏風などがある
  • 小書院には、主に襖絵がある
  • 法堂には、龍の天井画として有名な双龍図がある

見所2. 庭園

建仁寺には「大雄苑」・「潮音庭」・「○△□」の3つの庭があります。

大雄苑

建仁寺の大雄苑
方丈の前にある枯山水庭園で、腰掛けて眺める人が多い場所になっています。

潮音庭

建仁寺の潮音庭

小書院と大書院の間にある庭園で、苔に木や岩があり、独特の雰囲気がある庭園です。

○△□乃庭

建仁寺 ○△□乃庭

小書院の横にある庭園です。○△□は掛け軸などでも飾ってあります。この○△□の意味は解釈が多々あるようで、ハッキリとしたものは無いようです。

  • ○は円相といい、一円相・円相図などともいわれる。悟り・心理・仏性・宇宙を象徴した表現や、囚われや執着からの解放など解釈が多々ある
  • △は禅の坐相といわれ、仏と一体となった姿と解釈される模様
  • □は囚われた心とされる模様

以上が建仁寺の3つの庭でした。

見所3. 建物

建仁寺の清涼軒

その他、屋内の見どころとして、建物として、「清涼軒」・「茶室・東陽坊」・「納骨堂」などがあります。屋内から降りて歩き見に行くことができます。

見所4. 塔頭

建仁寺の摩利支天堂

建仁寺には多くの塔頭があります。塔頭とは建仁寺から派生した小寺のことです。普段は入れず特別公開時に入れる塔頭などもあるので、興味がある塔頭は事前に調べてから観光すると良いでしょう。下記に建仁寺の塔頭を載せておきます。

  1. 正伝永源院(正伝院と永源庵が合併。正伝院は茶人・織田有楽斎ゆかり)
  2. 常光院(妙心寺派の禅僧・温中宗純が開山)
  3. 清住院(慈照高山を追請開山とし、弟子の海雲禅慧らが創建)
  4. 興雲庵(陀枳尼尊天が守護稲荷として祀られている)
  5. 堆雲軒(たいうんけんと読む)
  6. 久晶院(戦国大名・奥平信昌が創建、三江紹益が開山)
  7. 禅居庵(中国僧・大鑑禅師が開山、境内に摩利支天堂がある)
  8. 大中院(花見小路通側にある、東海竺源が開山)
  9. 西来院(宋から来た蘭渓道隆が開山)
  10. 両足院(戦国大名・黒田長政ゆかりの塔頭で、両が知恵・慈悲、足が足るの意味)
  11. 霊洞院(れいとういんと読む)
  12. 大統院(青山慈永が開山)
  13. 霊源院(れいげんいんと読む)
  14. 六道珍皇寺(小野篁ゆかりのお寺で冥界への入口が有名)

見所5. 建仁寺の三門と勅使門

建仁寺の山門 望闕楼

  • 三門
    望闕楼(ぼうげつろう)といわれる三門で、「御所を望む楼閣」という意味がある。楼上に釈迦如来や迦葉・阿難両尊者と十六羅漢が安置されている。
  • 勅使門
    重要文化財に指定されている勅使門は銅板葺、切妻造りの四脚門。扉に戦乱の時に付いたとされる矢痕があるところから、矢の根門とも呼ばれている。

御朱印帳・その他

  • 建仁寺の御朱印帳は3種類あります。建仁寺らしさが感じられる「風神雷神図」「雲龍図」「こぼんさん」の三種類となっています。価格は1400円程度。
  • 建仁寺では毎月第二日曜日午前8時より座禅体験を行っています。今のところ予約なしでも体験できる。写経体験は予約なしでいつでもできます。

建仁寺へのアクセス

建仁寺の花見小路側の門

建仁寺は花見小路通へと続き、四条通りにも近いため、食事・お土産で困ることはない場所です。大通りからはやや奥へ入った場所にあるので、多少わかりにくいかもしれません。

住所:東山区大和大路四条下ル小松町584

バス

  • 京阪電車「祇園四条駅」より 徒歩 7分
  • 阪急電車「河原町駅」より 徒歩10分
  • JR京都駅より 市バス206系統・100系統
  • 市バス「東山安井」より徒歩5分
  • 市バス「南座前」より徒歩7分

電車

  • 建仁寺の最寄駅は京阪電車祇園四条駅です
  • 祇園四条駅から徒歩で約7分
  • 阪急電車の河原町駅からも近く、徒歩で約10分程度

開閉時間・料金など

  • 時間 : 10:00~16:00
  • 休館 : 12月28日~12月31日
  • 料金 : 大人500円、中高生300円、小学生以下無料(屋外は無料・屋内有料)

おすすめの散策ルート

建仁寺の隣には花見小路通があります。そして、花見小路通の先には祇園白川があります。そのすぐそばに八坂神社があり、その先には円山公園・知恩院が続いています。また、八坂神社と逆方向に鴨川、四条通りがあります。おすすめルートはいくつかありますが、一番効率よく多く回れるのが下記のルートです。

  1. 祇園四条駅(京都駅→東福寺駅乗り換え→祇園四条駅)
  2. 鴨川(祇園四条駅そばで、橋の下にも降りられる)
  3. 祇園白川(鴨川の隣にある)
  4. 八坂神社(祇園白川からすぐの場所)
  5. 円山公園(八坂神社の隣にある)
  6. 知恩院(円山公園の隣にある)
  7. 花見小路通(建仁寺の隣にあ理、古い街並みが楽しめ、お店もある)
  8. 建仁寺(祇園四条駅が最寄駅)
  9. 四条通り(錦天満宮や錦市場やお店多数あり)

建仁寺の2大見どころ、双龍図と風神雷神図をわかりやすく解説

京都の四条にある建仁寺は、俵屋宗達の風神雷神図と小泉淳作の双龍図が有名です。その他の見どころも含めて写真つきで解説していきます。

1. 法堂天井の双龍図

建仁寺の見どころで有名なのが双龍図です。法堂の天井に巨大な二匹の龍が描かれ、見上げた時の迫力は京都観光の良い思い出になる見応えがあります。方丈と法堂が繋がっているので、有料の方丈から入ればそのまま見ることができます。

双龍図とは

建仁寺の双龍図

双龍図は、意外と新しい作品で、2002年(平成14年)に建仁寺創建800年を記念して作られたものです。日本画家小泉淳作の作品で約2年の歳月を掛けて描かれたものです。詳細をまとめると次のようになります。

  • 双龍図の大きさは縦11.4m、横15.7mで、畳108枚分の大きさ。
  • 紙は、麻紙(まし)→麻をすりこんだ和紙
  • 墨は、明墨(みんぼく)
  • 36枚のパネルに描かれ天井に貼り合わされ完成

法堂の中に入ると凄い大きさと迫力で見応えがあるので、建仁寺に行った際にはぜひ見ていただきたい天井画です。

小泉淳作とは

小泉淳作(こいずみじゅんさく)は神奈川県鎌倉市生まれの日本画家、陶芸家。鎌倉五山第位一位の鎌倉・建長寺の雲龍図も制作しており、京都の建仁寺の双龍図も制作しています。

  • 鎌倉五山は、建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺
  • 京都五山は、南禅寺・天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺

となっており、建仁寺は京都五山の第四位のお寺。

つまり小泉淳作は建長寺の『雲龍図』、建仁寺『双龍図』を制作。その他、東大寺の襖絵など、有名なお寺に関わっている人物です。その後、2012年に肺炎のため87歳で死去しています。

2. 方丈にある風神雷神図

建仁寺で見ることができる風神雷神図は、俵屋宗達によって描かれたものではなく複製品です。本物は現在、京都国立博物館にあるので、そちらも合わせて見てみると違いを比較し楽しめると思います。また、

風神雷神図屏風

風神雷神図屏風の大きさは縦154.5㎝、横169.8㎝。
現在は京都国立博物館に寄託されており、建仁寺で見られるのは複製の屏風と陶板ですが、これはこれで美しく、見どころの一つといえる代物です。ちなみに風神雷神図は、江戸初期の画家である俵屋宗達の最高傑作と言われています。

風神・雷神とは

建仁寺の風神

元々風神と雷神はインドの聖典であるリグ・ヴェーダに登場するのが起源とされています。それが日本に伝わり、三十三間堂にある風神と雷神の像となり、それを元にして風神雷神図屏風が作られたと言われています。

このような経緯を知り、建仁寺と三十三間堂の風神・雷神を見比べてみると姿がかなり似ていることがわかり楽しめると思います。

また、風神・雷神は千手観音の眷属とされる二十八部衆に所属しており、建仁寺では風神・雷神のみが描かれていますが、三十三間堂では風神・雷神を含めた二十八部衆を仏像として見ることができます。

  • 風神とは
    ヴァーユと言われる富貴栄達を授ける神。バラモン教やヒンドゥー教ではインドラと共に空界を占めますが、仏教として日本に伝わると、インドラは帝釈天となり、ヴァーユは風神となっています。
  • 雷神とは
    雷神はヴァルナと言われる神で、古代インドの聖典リグ・ヴェーダでは水神としての性格も持つ神とされます。古代インドの各宗教を経て、日本に伝わった仏教では、雷神は虎柄のふんどしと連太鼓とばちを持つ姿で描かれています。

菅原道真の伝説がある北野天神演縁起はこの姿の雷神が描かれているのも興味深いので、合わせて見てると楽しめると思います。(画像検索でも出てきます)

俵屋宗達とは

俵屋宗達(たわらやそうたつ)は、桃山時代から江戸時代ごろに活躍した人物で、裕福な町人の出身。俵屋という絵画工房を主催し、本阿弥光悦と「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」などを合作した絵師です。

朝廷からも「法橋(ほっきょう)」叙せられるなど、町人ながらとても知名度もあり出世した人物です。俵屋宗達の技法は、尾形光琳をはじめとする琳派にも影響を与えたと言われています。法橋とは、僧侶に対し与えられた位階の一つで、僧位の中では第三位の位置付けです。

ちなみに三十三間堂近くの養源院でも俵屋宗達の有名な襖絵や杉戸絵をみることができます。

二曲一双屏風とは

国宝に指定されている風神雷神図は珍しい二曲一双屏風で、左に雷神、右に風神が描かれています。二曲一双屏風とは、屏風の面がいくつ曲がっているかの数のこと。一双とはペアになっているということ。つまり、二曲一双屏風とは、二つに曲がった屏風が、ペアになっているということです。

3. 方丈

建仁寺の方丈は重要文化財に指定されている建物です。この方丈に入るには有料になっていますが、風神雷神図や双龍図があるので、入る価値は充分あります。

方丈は1599年(慶長4年)に安芸の安国寺から移築しされています。造りとしては、柿葺、単層入母屋造で、柱などが桃山風の禅宗様の建物。方丈から拝観料を払い、風神雷神図や龍の襖絵や庭などを観覧でき、庭や双龍図のある法堂などへ続くような造りになっています。

また、東福門院から寄進された本尊・十一面観音菩薩像が安置されている建仁寺の内部を見る入り口になっている場所といえそうです。

さて、通常寺院では建物内や文化財などは撮影禁止とされているところが多い。写真を撮れても庭だけというところがほとんどと言えそうです。

しかし、建仁寺は全て撮影OKという珍しい寺院なのです。受付で拝観料を払った後、「写真撮影全てOKですので、ご自由にお撮り下さい。」と声をかけてくれる事すらあるし、撮影OKの紙まで貼られていたりします。
なので、有名な天井の龍神画も風神雷神図も撮影することができ、京都観光の思い出作りにはいい観光スポットと言えそうです。

まとめ

建仁寺の2大見どころは、双龍図と風神雷神図屏風と言われており、その特徴は下記の通りです。

  • 双龍図の作者は小泉淳作(こいずみじゅんさく)
  • 双龍図は2002年ごろに作られた作品(歴史的なものではない)
  • 双龍図は畳108枚分、36枚のパネルを天井に貼り付けている
  • 風神雷神図屏風の作者は俵屋宗達(たわらやそうたつ)
  • 風神雷神図屏風はレプリカで、本物は京都国立博物館にある
  • 風神雷神図屏風のモチーフは三十三間堂の風神・雷神像

俵屋宗達関連の風神雷神図屏風の原型となる像があるのが三十三間堂。その隣にあるのが風神雷神図屏風の本物がある京都国立博物館。さらにそこから徒歩圏内にある養源院では、俵屋宗達の襖絵・杉戸絵が見られるなど、俵屋宗達を中心に京都観光してみるのも面白いかもしれません。

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