永観堂の七不思議を知ると、禅林寺の見どころと歴史がわかる

永観堂は南禅寺と哲学の道の端にある若王子神社の近くにあるお寺で、紅葉が美しい事で有名な観光スポットのひとつです。また、苔も綺麗な事や、仏像のポーズが他と少し違うなどの特徴もあります。

山を背にした静かな場所なので、京都旅行などで静かな場所を巡りたい場合にはおすすめです。では、永観堂についてさらに詳しく解説をしていくので、興味のある人は参考にしていただければと思います。

1. 永観堂の歴史

浄土宗西山禅林寺派の総本山で、正式名称は禅林寺と言います。空海の高弟である僧都真紹が、歌人であった藤原関雄の邸宅跡を買い取り、寺院にしました。

当時の京都ではみだりに私寺を建立することは禁じられていたため、10年後の貞観5年(863年)に清和天皇より定額寺としての勅許と「禅林寺」の寺号を賜わって公認の寺院になりました。

  • 定額寺(じょうがくじ)とは、奈良・平安時代に朝廷が私寺の乱造を防ぎ統制を強めるために制定し寺で、官大寺・国分寺に次ぐ寺格
  • 山号は聖衆来迎山(しょうじゅらいごうさん)
  • 院号は無量寿院
  • 本尊は阿弥陀如来

2. 永観堂の御朱印

御朱印は窓口でいただけます。特に種類など書かれてはいませんが、実は4種類あり、何も言わなければ、西山国師霊場 第8番札所のものになる模様。

  • 「京洛六阿弥陀 第2番札所」
  • 「西山国師霊場 第8番札所」
  • 「法然上人二十五霊場」
  • 「文殊菩薩」

3. 永観堂の紅葉と夜間特別拝観

永観堂は紅葉の名所として有名で「秋はもみじの永観堂」と言われるほどです。秋に京都を訪れる際にはぜひ立ち寄りたいスポットです。そして境内の最も高い場所にある多宝塔を紅葉が包み込む姿や、池に面した紅葉群など紅葉の時期には境内を真っ赤に染める景観は京都観光の記憶に残るでしょう。

  • 境内には約3000本ものモミジが植えられている
  • 夜間の紅葉ライトアップも行われる
  • 夜間の紅葉ライトアップは混雑しがち

また、南禅寺にある天授庵も同時期に紅葉のライトアップを行なっているので、永観堂と連続で拝観するとより楽しめると思います。 

4. みかえり阿弥陀

永観堂といえば紅葉と言われますが、平安時代半ばに創建された永観堂はたくさんの寺宝を所蔵しています。たくさんある寺宝の中でも有名なのが「みかえり阿弥陀」と呼ばれる木造阿弥陀如来立像です。名前の通り後ろを振り返った姿をした珍しい仏像です。

なぜこのような姿をしているのかというと、あるとき永観が、阿弥陀如来像の周りを行道念仏していると、阿弥陀如来が壇を降り、永観を先導するように行道されました。驚いた永観が足を止めると、阿弥陀如来は振り向きざま、「永観遅し」と言ったそうです。以来、見返りの姿のままに、本尊として奉安されてきたと言われています。

5. 永観堂の七不思議

永観堂には7不思議があり、その知識をもとに観光すると見どころとしても楽しめるでしょう。

七不思議1. 抜け雀

古方丈の欄干(古い方丈という建物の手すり)に描かれた雀の絵が、向かって右端の欄干(らんかん=手すり)のみ一羽少なくなるので、抜け出していったと伝えられるもの。

七不思議2. 悲田梅(ひでんばい)

永観が衆生(命あるもの全て、特に人間)を救うために植えた梅で、かつては梅林だったが、現在奇跡的にこの一本のみ残っている。

七不思議3. 臥龍廊(がりゅうろう)

開山堂へ続く階段廊下が臥龍廊。形が極端に湾曲し、龍がのように見える。

七不思議4. 三鈷の松(さんこのまつ)

臥龍廊の手前にある葉が三本にわかれている長い松のこと。財布にいれるとお金が貯まると言われており、箪笥に入れると服がたまるといわれている。

七不思議5. 木魚蛙

境内にいる蛙の鳴き声が木魚をたたいているように聞こえるというもの。蛙の声を聞いたものは多いが姿を見たものはいないという。

七不思議6. 火除けの阿弥陀如来

永観堂は応仁・文明の乱などで堂宇が焼失したが、この阿弥陀如来像だけは焼け残ったという。

七不思議7. 岩垣紅葉

永観堂裏、急斜面の紅葉。永観堂以前にこの地に住んだ藤原関雄の「おく山の いわがき紅葉散りぬべし 照る日の光 見る時なくて」という歌に読まれているもの。

6. 永観堂へのアクセス

  • 住所:京都府京都市左京区永観堂町48
  • 拝観・開館時間:9:00~17:00 無休
  • 見学所要時間:約40分
  • 料金:一般600円、小〜高校生400円
  • 寺宝展開催中は一般:1,000円、小〜高校生400円
  • 夜間拝観:600円 
  • 例年の色づき始め:11月中旬
  • 例年の紅葉見頃:11月中旬~下旬
  • JR京都駅から市バス5系統で「南禅寺永観堂道」下車、徒歩3分。
  • 地下鉄烏丸線「京都」から、「烏丸御池」にて地下鉄東西線六地蔵方面行き乗り換え、「蹴上」下車、徒歩15分。
  • 京阪電車「三条」から市バス5系統で「南禅寺永観堂道」下車、徒歩3分。

7. 永観堂を含むおすすめルート

永観堂周辺は観光名所もたくさんあります。例えば哲学の道を通るルートは下記になります。

  • 平安神宮 → 無鄰菴 → 金地院 → 南禅寺 → 永観堂 → 哲学の道
  • 蹴上駅から金地院 → 南禅寺 → 永観堂と → 哲学の道

一応、ぎりぎり徒歩で巡ることができますが、地理がわからない人が平安神宮から歩きで行くと遠いです。なので蹴上駅から金地院→南禅寺→永観堂→哲学の道というルートがおすすめです。

永観堂のすぐ先に哲学の道があり、哲学の道の端から端まで行くとかなりの距離を歩くように感じでしょう。さらに、途中に駅がないため、帰ろうとするとバスやタクシーになりがち。哲学の道まで行く際は、帰り方や時間に注意して観光するのがポイントです。

8. 永観堂のまとめ

永観堂について簡単に解説してきましたが、長くなったのでまとめると次のようになります。

  • 南禅寺と哲学の道近くにあるお寺
  • 浄土宗西山禅林寺派の総本山
  • 青もみじ・紅葉が美しく、紅葉ライトアップも行われる
  • 夜間の紅葉ライトアップ時は近くにある天授庵もおすすめ
  • 最寄駅は蹴上駅

永観堂や京都観光の参考にしていただければ幸いです。

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