南禅寺の歴史と見どころ、そして紅葉

南禅寺の本堂

このページでは南禅寺の見どころを境内での見どころや塔頭、南禅寺周辺の見どころなどに分けて観光がより楽しめるように解説していきます。

1. 南禅寺境内での10の見どころ

見所1. 中門

南禅寺の中門

蹴上駅側から南禅寺に来ると一番最初に見える門が中門です。読み方は「ちゅうもん」。南禅寺には中門・勅使門・三門などがあります。

  • 中門とはお寺では楼門と拝殿の間の門
  • 南禅寺の楼門は見当たらない
  • 南禅寺は有名な三門もありますが、石川五右衛門がいた当時は三門はなかったとも言われている

時代の変化で解釈や位置が変わることあるのがお寺の造りなので、興味のある人はさらに調べていくとマニアックな楽しみ方ができると思います。

見所2. 勅使門

勅使門とは、元々は天皇や勅使(天皇の使者)が来た時だけ開かれる門でした。現在も一般通行は不可で、新たに住職が就任する晋山式など限定で開かれることもあります。

  • 南禅寺の勅使門は、明正天皇の御所にあった日の御門を移したもの
  • 南禅寺の勅使門は虹梁などには龍、麒麟、孔雀、松、牡丹、雲、波などの透かし彫りがされている

見所3. この門を入れば涼風おのづから

南禅寺この門を入れば涼風おのづから

三門へ続く参道横にある岩に文字が書かれています。この岩には「この門を入れば涼風おのづから」と書かれていて、南禅寺派・圓通寺の森永湛堂という人物の句とのこと。南禅寺の緑や紅葉と溶け込み風流な雰囲気を感じられる岩です。

見所4. 三門

南禅寺の三門は京都三大門の一つ。そして日本三大三門の一つでもあります。高さは約22mある巨大な門です。

  • 京都三大門とは知恩院の三門・南禅寺の三門・仁和寺の二王門(もしくは東寺の三門)のこと
  • 日本三大三門とは知恩院・南禅寺・久遠寺(山梨県)
  • 三門の三は貪欲・瞋恚(しんに)・愚痴からの解脱を表している
  • ちなみに瞋恚は憎み怒りなどのこと

三門の意味は空門・無相門・無願門の三境地を経て解脱する三解脱門と言われていて、貪・瞋・痴の三煩から解脱するなどとも言われています。三門の参道横にある「この門を入れば涼風おのづから」の意味がわかります。

見所5. 三門の五鳳桜

南禅寺三門の五鳳桜からの眺め

有料で三門内に入り、上に上がることもできます。上層の楼(二階)を五鳳桜(ごほうろう)といい、石川五右衛門が五鳳桜から「絶景かな、絶景かな」と言う歌舞伎での一場面があります。今でも見晴らしの良い風景を楽しむことができます。

  • 天井には絵師の狩野探幽が描いた極彩色の鳳凰、天人図がある
  • 別名「天下竜門」とも言われる
  • 山門下から五鳳楼までの階段の傾斜がキツめ

三門は元和元年大坂夏の陣で戦死した一門の武士の冥福を祈る為、寛永5年に武将藤堂高虎が寄進しました。そのため釈迦如来や十六羅漢像、藤堂家歴代の位牌や大坂の陣の戦死者の位牌などを安置しています。

南禅寺の三門上

この三門の上は一周できるようになっていて、南禅寺の全方位をみることができます。

見所6. 水路閣


水路閣は土木技術史上極めて貴重な建造物という評価を受けていて、昭和58年7月1日、日本を代表する近代化遺産として国の史跡に指定されました。南禅寺の近くには琵琶湖疏水記念館などもあり、水路閣との関わりが見えます。

南禅寺水路閣の上

この水路閣の坂を上がっていくと水路閣の上を見る事ができます。琵琶湖疏水とは琵琶湖の水を京都に流すために作られた水路のことで、明治時代に作られたものです。そして南禅寺の水路閣はその中で観光的な意味も含め、最も有名な場所と言えるわけです。

京都の八瀬から比叡山を上って、ガーデンミュージアム比叡などに上って下を見下ろすと琵琶湖が見えますが、このように京都と滋賀は隣り合っているので、琵琶湖の水を京都に流す水路を明治に作っていたわけです。また、南禅寺から少し歩くと哲学の道がありますが、哲学の道に流れている水路も琵琶湖疏水が流れているので、琵琶湖や南禅寺の水路閣、そして水の流れなどを知ってみると、琵琶湖疏水から京都の地理的な楽しみ方もできるようになります。

見所7. 法堂

南禅寺の法堂

三門から真っ直ぐにのびる参道の先には法堂があります。法堂は「はっとう」と読み、仏教寺院で僧侶が仏教を講義する建物のことです。禅宗寺院では「法堂」、その他宗派では講堂(こうどう)と呼ばれることが多いという特徴もあります。南禅寺の法堂には、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩の三尊像が祀られています。

見所8. 法堂 雲龍図(蟠龍図天井画)

南禅寺の雲龍図

そして外から覗く形で天井を見てみると、今尾景年(いまお けいねん)による雲龍図が描かれています。この雲龍図は蟠龍図天井画といい、今尾景年も明治〜大正時代に活躍した四条派の有名な日本画家です。ちなみに雲龍図が好きな人は、四条にある建仁寺などもおすすめで、間近から大迫力の雲龍図をみることができます。

見所9. 方丈(大方丈・小方丈)

南禅寺の方丈は大方丈と小方丈に分かれており、大方丈、小方丈の襖絵は桃山時代前期の狩野派の絵師たち狩野元信·永徳·探幽の名筆と言われ、見どころの一つと言えます。

  • 大方丈は天正年間造営の清涼殿を1611(慶長16年)に移したもの
  • 花鳥の間・御昼の間・麝香の間・鶴の間・仏間・鳴滝の間がある
  • 小方丈は寛永年間建設で、豊臣秀吉が城築した伏見城殿舎を移築したものとされている
  • 虎の間と3室(九畳・六畳・二十畳)がある
  • 小方丈の虎の間には 、絵師の狩野探幽が描いたとされる群虎図がある

これら方丈の作品は、重要文化財に指定されているため、劣化や破損などから守る必要があり、現在公開されているものの一部はデジタル技術で再現されたものとなっています。

見所10. 方丈庭園

南禅寺方丈庭園

方丈庭園も大方丈庭園と小方丈庭園に分かれます。小堀遠州作の方丈前庭(名勝)は、江戸時代初期を代表する庭園のひとつで、虎の子渡しと呼ばれる枯山水庭園です。

  • 小堀遠州は安土桃山時代から江戸時代初期にかけての作庭の名人
  • 南禅寺の塔頭である金地院などの作庭も手がけている

小方丈庭園は1966年に小方丈の西側に作られた心の形に石が配置された枯山水庭園で、別名を如心庭(にょしんてい)ともいいます。

2. 南禅寺 塔頭5つの見どころ

南禅院

南禅寺には塔頭が多くある他、山に入ったりする事もできます。南禅寺の入り口になっている中門、南禅寺山内にある別院、南禅院、金地院、天授庵、などの塔頭も見どころです。塔頭は祖師や高僧の死後、その弟子が祖師や高僧を慕って寄り沿うように創建した小さな寺院のことです。

塔頭1. 金地院

金地院-庭

金地院(こんちいん)は金地院崇伝ゆかりのお寺で、南禅寺の外にあり、蹴上駅から南禅寺へくる途中にあるお寺です。南禅寺の塔頭の一つで、規模は小さいですが、枯山水庭園「亀鶴の庭」や「東照宮」、狩野探幽・尚信や長谷川等伯が描いた襖絵などの見どころがあり、小さなお寺でゆっくりしたい人には良いスポットといえそうです。

塔頭2. 天授庵

天授庵

天授庵(てんじゅあん)は南禅寺の塔頭で、三門横にある有料のお寺です。紅葉の名所でもあり、秋には夜間特別拝観も行われる人気スポットの一つです。夏には青もみじが綺麗な庭を歩く事もできます。池の周りを歩く形で観光できる池泉式庭園(ちせんしきていえん)のタイプですが、縁側に腰掛けながら風流な気分に浸る事もできるスポットです。

塔頭3. 南禅院

南禅院の紅葉

南禅院(なんぜんいん)は南禅寺の中にあり、水路閣の奥の階段を上がると有料で拝観できるようになっています。境内は狭く池の周りを歩くタイプの池泉式庭園(ちせんしきていえん)の造になっています。あまり人気ではないのか、毎回人が少ないので、ゆっくり浸りたい人には良いスポットかもしれません。ただし狭いので少し観光客がくるとそれなりに人が目立ちます。

塔頭4. 最勝院

南禅寺塔頭 最勝院

最勝院(さいしょういん)は、水路閣の坂を上がった所にある塔頭で、季節によって花などの植物や青もみじが簡素ですが綺麗です。無料で入ることができるので、南禅寺を観光する際に立ち寄ってみるのも良いと思います。

塔頭5. 南禅寺奥の院

南禅寺奥の院

南禅寺奥の院は、水路閣や最勝院のさらに奥に進んだ先にあるのが南禅寺奥の院です。山に向かって延びる階段を上がっていくと小さな廟のようなものがあります。人気が少なく山の雰囲気を感じられる静かなスポットで、紅葉の時期には紅葉を楽しむこともできます。

3. 南禅寺周辺の3つの見どころ

周辺1. 京都一周トレイル

南禅寺奥の院をさらに上に進むと本格的に山の中に入ることになります。この山は大文字や銀閣寺、その他の場所へと繋がっているので、かなりの距離を歩くことになります(推定二、三時間以上)。

  • 足場の悪いところなどもある
  • 自然を感じられるのでアウトドアが好きな人には良い場所
  • 観光ついでに興味本位で入ってしまうとどこまでも歩く事になるので注意
  • 夏場は水がないと脱水症状になる危険性もあるので注意

周辺2. 永観堂

永観堂は南禅寺から徒歩で5〜10分程度の場所にあるお寺で、紅葉の名所です。紅葉の時期には夜間特別拝観が行われ行列ができる人気スポットでもあります。また、普段いくと青もみじと苔が美しく、緑色の多い境内を歩くことができます。有料で屋内へ入り、本尊のみかえり阿弥陀(振り向く形の阿弥陀像)をみることができるのも特徴的です。

周辺3. 哲学の道

永観堂のすぐ側から哲学の道が始まります。哲学の道は熊野若王子神社から銀閣寺までの道で、南禅寺からも熊野若王子神社までは徒歩で行ける距離です。その後の銀閣寺までは約1.8kmあるので、興味がある人は行ってみると良いと思います。

4. 南禅寺の紅葉

南禅寺の紅葉

南禅寺は紅葉の名所です。なので秋に行くと違った魅力を感じながら観光することができるのでおすすめです。さらに南禅寺だけではなく南禅寺周辺には紅葉スポットが多々あるので、紅葉を楽しむにはこの辺り一帯は押さえておきたいところ。南禅寺の紅葉とその周辺のスポットについて解説しているので、興味があればご覧ください。

南禅寺の紅葉(押すと開閉して読めます)

南禅寺境内の紅葉

南禅寺は広い境内にいくつもの見所があるお寺で、秋には紅葉の名所としても人気のスポットでもあります。南禅寺の紅葉は南禅寺だけではなく、塔頭寺院や南禅寺を囲む山、そして永観堂など、数々の紅葉スポットが密集しているエリアでもあるのです。ここでは南禅寺の紅葉を中心に、周辺の紅葉スポットや穴場についても解説していきますので、秋の京都観光の参考にしていただければ幸いです。

1.秋の観光におすすめの南禅寺の紅葉スポット一覧

南禅寺は広く色々な場所で紅葉が楽しめます。入り口から三門、三門の上から眺める紅葉や、南禅院、最勝院、天授庵・・・などなど、多くの紅葉の見どころがあるので、紅葉を楽しみたいなら南禅寺はおすすめのスポットになります。

1. 南禅寺三門の紅葉

南禅寺の三門は日本三大三門、そして京都三大門の一つに数えられる巨大な門なので、見応えがあります。三門付近に紅葉した木が植えてあり、華々しく三門を飾ります。

2. 三門内部(五鳳桜)からの紅葉

南禅寺山門(五鳳桜)からの紅葉時の眺め

南禅寺の三門は高さが22mほどあり、その門の上に有料で上がることができます。そこから見る景色は印象深く、特に紅葉の時期には京都市内や南禅寺を高所から見れるとても居心地の良い場所です。

この三門は石川五右衛門が歌舞伎の、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)の中でも「絶景かな、絶景かな」と言っているように、絶景スポットの一つ。ただし、石川五右衛門は桜の風景を見て言ったのだとか。紅葉も気持ちよく見られる場所なので観光の思い出に良いスポットと言えると思います。

3. 南禅寺境内の紅葉

南禅寺境内の紅葉

南禅寺境内にはたくさんの紅葉した木を見ることができ、全体的に美しい境内と言えます。山道脇に多くの紅葉した木が植えられていて、巨大な三門を中心に紅葉を楽しみながら広い境内を歩けるのは特徴的な風景と言えます。

3. 南禅寺水路閣の紅葉

水路閣は南禅寺境内の南東にあり、明治23年に琵琶湖の湖水を京都の街へと運ぶための水路橋として造られました。橋の下の部分がアーチ型になっていて、延長は約93メートル、最も高い場所は約13メートルもあります。

南禅寺は紅葉の名所ですが、その中でも三門や水路閣は紅葉の見事な場所です。南禅寺らしい風景に紅葉が合わさり秋の京都観光でを楽しむには人気スポットになっています。

4. 南禅院の紅葉(塔頭)

南禅院は南禅寺の水路閣の先の階段を上がったところにある有料の庭を楽しめるスポットです。面積としては小さく、建物と池を中心に、その周りを歩く形のスポットになっています。見どころがそれほどあるわけではないので、期待しすぎはがっかりするかもしれませんが、季節や人の少なさなどによって美しい風景と静けさが得られる渋い雰囲気の場所です。特に滝付近は涼しさと静けさがあるのでちょっとしたおすすめです。

5. 最勝院の紅葉(塔頭)

南禅寺の水路閣の横に坂があり、その坂を上がっていくと最勝院があります。最勝院は小さなお寺ですが、山を背景にした紅葉も見れるので、立ち寄ってみると良いと思います。

6. 南禅寺奥の院の紅葉(塔頭)

南禅寺奥の院の紅葉

最勝寺の横を通って山に向かって歩くと、南禅寺奥の院があります。ここは人があまりいない南禅寺の紅葉が見れる穴場でおすすめ。ただ、華々しい何かがあるわけではなく、山道に長い階段があり、そのさきにお堂がありつつ、山の中で秋には紅葉が見られるスポットという感じです。

静かに人気が少ない紅葉を楽しみたい人には良い場所です。さらに進んでいくと京都一周トレイルのコースに入り、山をひたすら歩くことになります。銀閣寺他、かなり遠くまで繋がっていたりするので、2・3時間程度見つつ歩くことになると思います。水やトイレなどもない山道なのでその点は要注意でしょう。

7. 天授庵の紅葉(塔頭)

天授庵は南禅寺の三門横にある塔頭の一つで、紅葉の名所としても有名です。昼に見られる紅葉も見事ですが、夜間特別拝観時の紅葉も美しく、できれば両方楽しみたいスポットの一つです。ちなみに天授庵から少し歩くと永観堂がありますが、永観堂も紅葉の名所であり、夜間特別拝観が行われるので、夜に観光する場合は、天授庵と永観堂は続けて行くと楽しめると思います。

2. 南禅寺周辺の紅葉スポット

南禅寺周辺は紅葉スポットが密集している地域なので秋の京都観光には最適です。南禅寺周辺の紅葉スポットも合わせて観光すると良いと思います。

周辺1. 永観堂

永観堂 紅葉 ライトアップ

永観堂は普段は青もみじと苔の緑が印象的なお寺ですが、紅葉の名所でもあり、行列ができるほど賑わう紅葉スポットです。夜間特別拝観もあり、夜にライトアップされた紅葉を見ることもできるスポットです。

周辺2. 哲学の道

哲学の道も秋には美しい紅葉スポットになります。哲学の道に点在する各お寺や神社も紅葉し、普段開いていない安楽寺なども特別公開されるなど、紅葉の時期には南禅寺から哲学の道へ進むルートは紅葉のおすすめルートになります。ちなみに哲学の道は永観堂のすぐ近くにあり、熊野若王子神社・大豊神社・霊鑑寺・安楽寺・法然院・銀閣寺と続く約1.8Kmの道を言います。

まとめ

南禅寺は紅葉の名所で、塔頭が多く、塔頭も紅葉を楽しめるスポットが多々ある人気エリアということがわかったと思います。京都観光する際には、周辺スポットや夜間特別拝観などを加えて、南禅寺の見どころを巡るととても思い出深い観光になると思います。また、紅葉の時期以外にも、実は新緑が美しいスポットでもあるので、緑を楽しむのもおすすめです。詳しくは別なページにまとめ他ので、興味がある方はご覧ください。

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