安楽寺の歴史
安楽寺は、哲学の道の途中にあり、京都市左京区にある浄土宗の寺院です。7月に中風除けを祈願するカボチャ供養が有名です。
- 山号:住蓮山
- 本尊:阿弥陀如来
- 開基:浄土宗の宗祖法然上人
安楽寺は法然上人の弟子であった、住蓮と安楽を供養するために創建された寺院です。通称「松虫鈴虫寺」とも呼ばれますが、それには安楽寺創建につながる残酷な歴史が関係しています。
安楽寺創建の歴史と承元の法難
鎌倉時代にそれまでの仏教とは違う、南無阿弥陀仏を唱えるだけで救われるという形をとった法然の浄土宗。この法然に弟子入りした親鸞は、さらにそれまでの仏教ではタブー視されていた結婚をします。これにより厳しい修行を行う他宗教からは敵視されたと言われています。
その中で、権力者であった後鳥羽上皇の女御、松虫と鈴虫は、ある日外泊して住蓮と安楽の説法を受け、尼僧になってしまいました。これに怒った後鳥羽上皇は、住蓮と安楽を含む4人の門弟を死罪(陰茎を切り落とされるなどもあった模様)にしてしまいます。
そして法然と親鸞は流罪となりました。これを承元の法難(じょうげんのほうなん)と言います。
- 女御:身分の高い女官で天皇の寝所で仕えた
- 住蓮:平安末期から鎌倉初期の法然の弟子
- 安楽:遵西(じゅんさい)・安楽房ともいう。法然の弟子
- 法然:住蓮・安楽の師で、浄土宗の祖。南無阿弥陀仏を唱える他力の仏教を説いた
- 親鸞:法然の弟子で南無阿弥陀仏と他力を追求。結婚し子供も作った浄土真宗の祖
その後、流罪地から京に戻った法然が安楽と住蓮の菩堤を弔う為に、1681年(延宝9年)に創建し、住蓮山安楽寺と名付けました。法然はその後に死去。
親鸞は流罪地で結婚し、子供も生まれ、のちに関東へ移り、教えを説きながら90歳まで生き続けます。
松虫と鈴虫は瀬戸内海の生口島光明防で念仏三昧の余生を送り、松虫は35歳、鈴虫は45歳で亡くなったと言われています。
境内には、住蓮、安楽の供養塔、松虫、鈴虫の墓が残っています。
安楽寺とは
安楽寺は通常は非公開の寺院ですが、春はさくら、つつじ、さつきの時期、夏はかぼちゃ供養、秋は紅葉の時期に一般公開されています。本堂では30分おきに住職自らが約10分間お寺の由緒や仏像などのお話してくださいます。住職がこのようにお話をしてくださる寺院は、なかなかありません。
観光客も少なめの寺院なので、きれいに手入れされた庭の季節のお花を見ながら、ゆっくりとした時間を楽しむことができます。南禅寺や銀閣寺など大勢の観光客で賑わう寺院の近くにあるので、休憩がてら立ち寄るのもオススメです。御朱印は書院で受け付けています。
安楽寺のかぼちゃ供養
安楽寺では毎年7月25日の9時から15時までかぼちゃ供養というものが行われます。起源は住職の真空益随上人が修行中に「夏の土用に鹿ヶ谷カボチャを食べると中風にかからない」とのお告げを受けたことからとされています。
それ以後7月25日に供養日を定めて、今日まで220年続く伝統行事です。かぼちゃ供養のときは参拝客にかぼちゃが振る舞われる他、寺宝の安楽寺縁起絵、剃髪図、九相図などが虫干しを兼ねて公開されます。
かぼちゃ供養で使用されるかぼちゃは鹿ヶ谷カボチャという珍しいひょうたん型のかぼちゃです。京野菜のひとつなのだそうで、近畿地方以外の方はあまり見たことがないかもしれません。
表面はブツブツしていて、高さは20センチ、重さは2〜3キロになるそうです。かぼちゃ供養のときには門先で、鹿ヶ谷カボチャをはじめ加茂ナス、万願寺トウガラシ、九条ネギ、柊野ササゲなど珍しい京野菜の販売もされますので気になる人は立ち寄ってみると良いでしょう。
安楽寺の基本情報
- 住所:左京区鹿ヶ谷御所ノ段町21
- 電話:075-771-536
- 料金:特別公開日のみ拝観可 大人500円、15歳(中学生)以下無料
- 時間:9:30~16:30(特別拝観の公開時間)
- さくら:4月上旬の土日
- つつじ:5月上旬の土日・祝日
- さつき:5月下旬〜6月上旬の土日
- かぼちゃ:鹿ケ谷カボチャ供養 / 7月25日
- もみじ:11月全土日・祝日、12月上旬の土日
アクセス
京都駅から市バス5号系統「岩倉操車場」ゆき「真如堂前」下車 徒歩約15分、四条河原町から市バス203号系統「祇園・錦林車庫」ゆき「真如堂前」下車 徒歩約15分
安楽寺の周辺は有名な寺院、哲学の道など見所がたくさんあります。散策ルートとしては安楽寺→法然院→銀閣寺に向かうルート。安楽寺→哲学の道→若王子神社→永観堂→南禅寺→金地院に向かうルートがオススメです。