貴船神社(京都)の歴史と見どころ

1. 貴船神社の歴史

歴史1.貴船神社創建の歴史

貴船神社創建の歴史

貴船神社は日本に約450社ある貴船神社の総本山です。創建年代は不詳。社殿は1055年(天喜3)に元の御鎮座地より現在の本宮の遷へ移されたとされています。

貴船神社の鳥居

  1. 1055年は日本では平安時代後期で第70代後冷泉天皇の時代
  2. 世界ではトルコ系民族からなるセルジューク朝がバグダードを陥落させ、シーア派のブワイフ朝を倒している時代
歴史2.貴船神社の主祭神

歴史2.貴船神社の主祭神

貴船神社の主祭神は高龗神たかおかみのかみ。高龗神は水の神様です。

  1. 高龗神は雨を降らせる・止ませる事もできる祈雨の神
  2. 農業、漁業、飲食業など、水を扱う商売をする人々から信仰を集めた
  3. 貴船神社では本宮と奥宮に祀られている

この事からか、貴船神社は水に関わる神社であり、おみくじも「水みくじ」という特徴があります。

歴史3.貴船神社の名前の由来と水

貴船神社の名前の由来と水

貴船神社の摂社

貴船神社という名前の由来は、神武天皇の母、玉依姫命(たまよりひめのみこと)が関係し、下記のような逸話があります。

  1. 第18代反正天皇の時代に玉依姫命が水源の地を求める
  2. 黄色い船に乗って川をのぼり、この地に祠を建てた
  3. そのため黄色い船から貴船になったとされる

ちなみに神武天皇は日本の初代天皇で、母である玉依姫は海神の娘と言われており、水に関わりがあります。

歴史4.パワースポットと言われる貴船神社

歴史4.パワースポットと言われる貴船神社

貴船神社は水が由来となっていますが、貴船は「気生嶺」や「気生根」とも書かれており「大地のエネルギーである気が生じる山、根の場所」という意味があるとも言われています。

実際に貴船神社に行ってみるとしっかりと根が張った大きな木もあり、鞍馬寺へと続く鞍馬山にも特殊な形で根が張る木があるなど、「大地のエネルギーである気が生じる山、根の場所」という名前の由来も納得できるでしょう。

そのため貴船神社はパワースポットや丑の刻参りなど、古来よりスピリチュアルな場所としても有名になってきた場所でもあります。

  1. 貴船神社は強力なパワースポットとしても有名
  2. 絵馬の発祥地
  3. 丑の刻参りでも有名

丑の刻参うしのこくまいりりは、丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に神社の御神木に憎い相手の身代わりである藁人形を釘で打ちつけるもの。このように人間関係に関しても貴船神社は有名です。

丑の刻参りとは反対に平安時代の歌人・和泉式部の縁結びの逸話もあり、縁結び・縁切りとして貴船神社は信仰されています。

歴史5.和泉式部と縁結び・縁切り信仰

歴史5.和泉式部と縁結び・縁切り信仰

貴船神社の入り口

縁結びの神様としても信仰されていますが、下記のような由来があります。

  1. 時は平安時代
  2. 歌人和泉式部が貴船神社に参詣
  3. 不和となった夫との復縁祈願し成就した

和泉式部はどういう人かというと、歌人としての才能が高い、モテる、和歌に恋愛要素が強い特徴があります。

また、藤原道長からは「浮かれ女」と言われ、同僚の紫式部からは「恋文や和歌は素晴らしいが、素行には感心できない」と言われている性格。

貴船神社の縁結びの逸話も恋愛から出ていることもあり、縁結び・縁切り信仰が平安時代から続いていることも納得できそうです。

これら貴船神社の歴史や特徴を知った上で貴船神社の見どころを見てみると、貴船神社観光がさらに楽しくなります。

2. 貴船神社の見どころ

貴船神社は1つの場所にあるというのではなく、三社詣りと言われるように、手前から本宮(ほんみや)、中宮(なかみや)、奥宮(おくみや)という3社が離れた場所にある作りになっています。

貴船神社の境内(奥宮)

本宮→奥宮→結社(ゆいのやしろと読み、中宮のこと)の順で参拝するというように順番が決まっているのが特徴です。

本宮

本宮

本宮は2007年に改築されました。本宮には山からの御神水が湧き出ていて、この水を飲んで病が治ったという言い伝えもあります。貴船神社の御祭神は水の神である高龗神(たかおかみのかみ)なので、水に着目して観光してみると、より楽しめると思います。

貴船神社の境内(本宮)

御祭神や御神水のように水に関する神社という事もあり、本宮では水占いが有名です。200円でくじを購入し、御神水が溜まる場所で水に浸すと文字が浮き上がってくるというものです。水に浸すタイプのおみくじは下鴨神社など、京都にも少数あるので探してみるのも面白いものです。

貴船神社のおみくじ

それともう1つ「結文」という短冊もあります。これは願いを書いて本宮、奥宮と参詣し、最後の結社で短冊を結びます。男女間の縁だけでなく、子授けや就職、入学などあらゆる縁結びの願掛けになると言われています。

奥宮

奥宮

奥宮は入ってみると広い空間に連理の杉などの見どころの他、切り株の椅子などがあり一息つける癒しスポットとも言える場所でしょう。観光客が少ない平日などに行くとリラックスできるような雰囲気のある場所です。

ここは京都でも屈指のパワースポットとして知られる場所で、奥宮の本殿下には、パワースポットの証しである「龍穴」があると言われています。龍を見たり感じたりする人もいるとも言われています。


結社(ゆいのやしろ)

結社(ゆいのやしろ)

奥宮から約5分ほど戻ると結社があります。奥宮の前に結社に行く人が多いので、気をつけましょう。結社では、縁結びの神様である「石長比売(イワナガヒメ)」を祀っていて、縁結びのパワースポットとして有名です。

イワナガヒメは見た目が悪く岩のような頑丈な健康体です。逆に妹である木花之佐久夜比売(コノハナノサクヤビメ)は美しい女性ですが短命。コノハナノサクヤビメに出会ったのが邇邇芸命(ニニギノミコト)です。

ニニギノミコトとコノハナノサクヤビメは一目惚れし結婚します。しかし、その際に姉のイワナガヒメもなぜか一緒に妻にするようコノハナノサクヤビメの父であるオオヤマツミノカミから言われます。

しかしニニギノミコトは見た目の悪いイワナガヒメを追い返します。このような由来があり、イワナガヒメは嫁げなかった事を恥、この地に鎮まり、人々に良縁を授けるように貴船神社の結社に祀られる事に繋がるのだとか。

ここでは本宮で購入した短冊を持って、社殿で願をかけ、社殿の後ろにある結び処で結びます。結社の奥にある相生杉という同じ根から生えた日本の杉は樹齢1000年を超えていると言われていて、夫婦共に長生きするという意味が込められ、御神木として祀られています。

3. その他

貴船神社の御朱印

貴船神社の御朱印

貴船神社の御朱印と奥宮の御朱印はいつ参拝しても頂けます。一枚300円です。

オリジナルの御朱印帳は4種類で桜、菊、もみじ、水玉のデザインがあります。もみじの御朱印帳は夏が青もみじ、秋は紅葉のデザインになります。水玉の御朱印帳はピンクとゴールドの2色あります。価格は全て1000円です。

貴船神社からのおすすめ観光ルート

貴船神社からのおすすめ観光ルート

貴船神社と鞍馬寺の間はハイキングコースになっていて人気のあるルートです。

ただし軽い気持ちで行ってみようと思うとビックリするような長さに感じられると思います。貴船神社から鞍馬寺に続いている山なので、当然坂道や階段、根の張り出た道など歩きにくいところもあるのが特徴です。

スニーカーなど歩きやすい靴で行くのがおすすめですね。足腰の弱い人にはおすすめできず、少し汗をかく事も考えて汗処理を行えるものを持っていくといいでしょう。

所要時間は1時間〜1時間半が目安。参詣の時間も合わせると2時間〜3時間が目安になります。行く際は水分補給のための水を持っていきましょう。

季節による変化とランチ

季節による変化とランチ

貴船神社は5月頃から新緑が美しく、緑を楽しむには良い場所と言えます。また、秋には紅葉を楽しめるスポットしても人気ですね。

その他、初夏から秋に頃まで川床が出る店が多数あるなど、貴船神社周辺の道で川床の風情あるランチなどが楽しめる場所が多いのも特徴です。風情あるデートなどを楽しみたい方にはいい場所と言えるでしょう。

事前の予約をした方が無難と言えますが、意外と値段が高いランチが多いのも覚えておくと役立ちます。

1,300円などの流しそうめんの他、4,000円や6000円前後のメニューが多く見られるので、お金に余裕を持って貴船神社に行くのが良い観光プランと言えそうです。

貴船神社へのアクセス

貴船神社へのアクセス

住所:左京区鞍馬貴船町180

貴船神社は叡山電鉄の電車を利用するのがメジャーな行き方です。叡山電鉄への乗り場は、下鴨神社や鴨川デルタに近い出町柳駅の地上にあります。

最寄駅は貴船口で、その駅を出たすぐの場所にバスが出ています。バスは混みやすいので、一回で乗れない事もあるなどもありますね。このバスを利用しないで徒歩で貴船神社まで行く事も充分可能な距離で、沢に沿って造られた道路の緩やかな坂道を上がっていく事になります。

沢などで遊んでいる家族連れも見かけるので、貴船神社近辺の楽しみ方も色々あると言えるでしょう。バスが停車する場所が駐車スペースになっていて、そこにトイレも設置されています。そこから少し歩くとお店がちらほらと見えてきて、すぐに貴船神社本宮の入り口があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です