高台寺の見どころを桜・紅葉・ライトアップも含めて解説
高台寺は京都府京都市東山区にある臨済宗建仁寺派の寺院で、山号は鷲峰山、寺号は高台寿聖禅寺、御本尊は釈迦如来、開基は高台院です。
1. 高台寺の歴史がわかる3人の人物
高台寺を楽しむために見どころの前に少しだけ歴史を知っておきましょう。
人物1. 豊臣秀吉の死と高台寺
高台寺の開山は慶長11年(1606年)で、豊臣秀吉が慶長3年(1598年)に病死したことで、正室であった北政所ねねが秀吉の菩提を弔うために寺院を建設したのが始まりです。寺号はねねの落飾後の院号である高台院湖月尼にちなんで名付けられたそうです。
人物2. ねねの死と圓徳院
当初は曹洞宗の寺院でしたが、寛永元年(1624年)に臨済宗建仁寺派の建仁寺の三江紹益を中興開山に招聘し、臨済宗に改宗しています。ねねはこの年に高台寺の塔頭である圓徳院で亡くなったとされています。
人物3. 福井藩主・松平慶永
高台寺はこれまでに複数回の火災にあっています。完成元年(1789年)には大方丈や小方丈などが焼失しましたが、弘化年間に再建されました。しかし文久3年(1863年)に公武合体派の福井藩主・松平慶永の宿所になり、再び大方丈と小方丈などが放火によって消失しました。
建設当時の建物で現存しているのは慶長10年(1605年)に建立された三江紹益を祀る開山堂と秀吉と北政所を祀る霊屋(おたまや)、桃山時代に建立された茶室の傘亭と時雨亭などです。
2. 高台寺を楽しめる5つの見どころ
見所1. 波心庭(方丈庭園)
高台寺の方丈庭園は勅使門を正面に見ながら白砂の中に一本の枝垂れ桜があり、印象的な庭になっています。夜間ライトアップの特別公開ではプロジェクションマッピングも行われるスポットでもあります。
見所2. 開山堂
開山堂は、主面5間、側面3間からなり、奥にある龍雲図は狩野山楽の筆によるもので、天井も豪華に装飾されています。三江紹益の像の左右には北政所の兄・木下家定夫妻の像と寺の普請掛をつとめた堀監物の木像も祀られています。
見所3. 霊屋
霊屋は、豊臣秀吉と正室ねねを祀っている高台寺で一番の見どころです。境内の一番奥にあり、秀吉と北政所の木像が安置されています。木像を置いた厨子や須弥壇、柱・長押に施してある絢爛豪華な「高台寺蒔絵」は、平蒔絵で、桃山時代の漆工芸美術の粋を集めており、日本に数ある漆工芸技術のなかでも特に評価が高いものです。
見所4. 傘亭と時雨亭
傘亭(かさてい)と時雨亭(しぐれてい)は伏見城から移築されたもので、2つとも千利休の意匠によるものです。傘亭と時雨亭は土間廊下で繋がれています。千利休の茶室と言われ、屋内の天井が竹で組まれており、その形が唐傘に似ていることから傘亭と名付けられたと言われています。
茶室は一般的に天井が低いのですが、傘亭は天井が高く、時雨亭は2階建ての2階部分が茶室になっています。
見所5. 竹林の道から見える霊山観音
高台寺には竹林の道があります。ライトアップ時にも通れますが、昼時などに竹林を通ると、その横から高台寺の隣にある霊山観音が見える場所があります。桜の咲く季節に行くと竹林と桜と霊山観音寺が覗けるスポットになります。
見所5. 偃月池と臥龍池
高台寺の庭で偃月池(えんげつち)と臥龍池(がりょうち)は小堀遠州の代表作とされ、国の史跡名称に指定されています。開山堂の左右に配された臥龍池と偃月池のある庭園は、石組みも見事で桃山文化を代表する庭園とされています。
臥龍池(がりょうち)付近は和みます。紅葉の時期にある夜間特別拝観のライトアップ寺には臥龍池の水面に映るライトアップされた紅葉は必見の美しさで人だかりができます。
3.高台寺季節の見どころ
高台寺は春の桜と秋の紅葉の時期は特に境内が美しく、季節的に見どころが変わります。しだれ桜や紅葉ライトアップなど、高台寺の季節による見どころを2つ載せておきます。
季節1. 高台寺波心庭の枝垂れ桜
高台寺の春には、方丈庭園の波心庭に見事なしだれ桜が咲き、高台寺の境内と調和し、和やかな印象を与える枝垂れ桜になっています。
季節2. 高台寺の夜間特別拝観・紅葉ライトアップ
高台寺は夜間に紅葉のライトアップがあります。高台寺の紅葉ライトアップはかなりの人数が並ぶ事が多く、人気の紅葉ライトアップスポットになっています。圓徳院と高台寺は関わりがあり、すぐ近くにあるお寺という事もあり、夜間拝観のチケットも高台寺で両方購入する事も可能です。
紅葉以外ではプロジェクションマッピングなども行われます。また、竹林を下る場所で振り返ると、竹林と紅葉のライトアップを見る事ができます。気づかず振り返らずに階段を下りる人もいるので覚えておくとより良い京都観光ができるでしょう。
4. 高台寺の塔頭
高台寺の塔頭には、圓徳院、岡林院、月神院、春光院があります。塔頭(たっちゅう)とは本寺の系統に属する小寺のことです。本寺を親としたら関係性的に子のような位置付けになる寺を言います。
塔頭1. 圓徳院
圓徳院は豊臣秀吉の正室ねねが秀吉の没後余生を過ごした終焉の地と言われています。高台寺のすぐ近くにあり、合わせて周るのもおすすめです。円徳寺と高台寺をセットで回る場合には拝観料が割引になる共通拝観券もあります。岡林院は慶長13年(1608年)にねねの従弟・久林玄昌が建立しました。見どころは茶室「忘知席」と三地蔵です。裏千家の又隠席の写しと言われています。
塔頭2. 月神院
月神院は元和2年(1616年)久林玄昌が石見津和野藩・亀井政矩の保護の下で創建し、亀井家の菩提寺になりました。普段は非公開の寺院ですが、伊東甲子太郎やかつて新選組だった人達が御陵衛士(ごりょうえじ)という組織を名乗り屯所とした場所なのだそうで、新撰組が好きな人にはよく知られた場所です。春光院は慶安元年(1648年)ねねの甥・木下勝俊の娘春光院万花紹三を弔うために建立されたといわれています。
5. 高台寺周辺の見どころ
周辺1. 圓徳院
圓徳院は高台寺から道を挟んですぐの場所にあり、甘味処やお土産屋なども併設されているお寺です。夜間ライトアップなどもあるので、高台寺とセットで観光する人が多いスポットです。
周辺2. 大雲院(銅閣寺)
この写真は高台寺を入って最初にある場所から撮った風景で、この距離に見える塔が大雲院です。大雲院は銅閣寺とも言われる場所なので、金閣寺・銀閣寺を観光するなら行ってみるのも良いかもしれません。円山公園と高台寺の間にあります。
周辺3. 八坂神社
八坂神社は高台寺から徒歩で行ける距離にある大きな神社です。八坂神社前には四条の街が広がり、そこには祇園白川・花見小路通・建仁寺・鴨川など多くの見どころが徒歩で行けるように点在しています。円山公園とは隣になっていて距離もなくほぼ繋がっています。
周辺4. 知恩院
円山公園を八坂神社と高台寺ではない北側ルートに進むとあるのが知恩院です。高台寺からも徒歩で行け、円山公園を出たらすぐ見える三門は日本三大門の一つであり、迫力があります。
周辺5. 法観寺(八坂の塔)
高台寺から清水寺方面へ進んだ先にあるのが法観寺です。八坂の塔とも言われ、周辺には二年坂・三年坂の商店街が広がり、京都らしい観光地になっているオススメの場所です。
周辺6. 清水寺
高台寺から出て左側に進むと霊山観音があり、その先に更に進むと二年坂・三年坂という商店街その先に法観寺があり、更に進んで坂を上がっていくとあるのが清水寺です。清水寺から高台寺までのルートはお土産屋や飲食店が並ぶ人気の高い観光スポットなでお勧めです。一点だけ微妙なのが最寄えきがやや遠いことでしょう。