龍安寺の鏡容池や石庭など5つの見どころを豊富な写真で解説

このページでは鏡容池や石庭を中心に、龍安寺の見どころを解説していきます。歴史も少々解説しているので、読んでみてください。
1. 龍安寺の見どころ5選
見所1 鏡容池(きょうようち)
衣笠山、朱山を借景にし、鏡容池を中心とした池泉回遊式庭園は、かつてはオシドリが見られる名所として石庭よりも有名でした。別名もオシドリ池と言われていたようですが、現在では、二羽のアヒルが鏡容池を泳ぐ姿が見られます。
平安時代には名池のひとつに数えられ、貴族が舟を浮かべて遊んでいたそうで、江戸時代になると、都名所図会でも紹介される名所の一つでした。都名所図会(みやこめいしょずえ)は江戸時代の旅行雑誌のようなものです。
花筏(はないかだ)ほどではなくとも、散った桜が水面に広がり、アヒルが泳ぐ姿は静かな龍安寺の印象深い見所になるのではないでしょうか。
現在の鏡容池は国の名勝に指定されていて、スイレンや桜、サツキ、ショウブなどが植えられており、春から初夏にかけて様々な花が楽しめる場所です。
鏡容池には2つの島があり、鏡容池の中心にあるのが弁天島です。七福神の弁財天が祀られていて、豊臣秀吉も参拝している歴史がある場所です。
鏡容池にあるもう一つの島が伏虎島(ふしとらじま)です。虎が伏せている姿に似ている事からそう呼ばれているとか。桜が植えてあり、春は島の上に桜が咲きます。
水分石(みくまりいし)は、鏡容池にある二つ並んだ岩で池の水かさを測るのに使われている石です。よく鏡容池にいる亀が水分石の上で日向ぼっこをしている姿を見る事ができます。
見所2 石庭
石庭は正式名称を方丈庭園と言い、特別名勝・史跡に指定されている龍安寺で一番の見どころです。
石庭は枯山水庭園
石庭は縦約10メートル、横約25メートルの油土塀に囲まれた約75坪ほどの枯山水式庭園です。枯山水庭園とは、水のない庭のことで、石や砂などで山水の風景を表現している庭園です。枯山水庭園は室町時代の禅宗寺院に多い造りで、龍安寺の石庭も室町時代に作庭されたとも言われています。
石庭は15の石の配置が見どころ
大小15個の石と白砂だけで構成されています。石庭は室町時代末期に禅僧によって作庭されたと言われていていますが、明確ではありません。石は東から5個、2個、3個、2個、3個の順で配列されています。この15個の石はどこから見ても必ず1個が他の石に隠れてしまうという巧妙な配置になっています。
不完全さが禅の思想を表している
このどこから見ても完全な形を見ることができない不完全な庭の美は、禅の心・思想を象徴している庭ともいわれています。
石庭の錯覚
また、石庭は一見すると平坦に見えますが、方丈から見て左奥が低くなっています。これは、雨水などを排水しやすくするためとされています。そして、油土塀が、手前から奥に向けて50cmほど低くなっていますが、これは、広くはない庭を目の錯覚によって広く見せるための工夫といわれています。
石庭は虎の子渡しとも呼ばれる
そして、この石庭は、中国の説話「癸辛雑識・虎の子渡し」から「虎の子渡しの庭」とも言われていますし、石の並びが七、五、三というおめでたい数字に分けられることから「七五三の庭」とも呼ばれています。
ここまで書くと凄そうだ!一度見てみたい!と思うかもしれませんが、実際に行ってみると小さな白っぽい庭に石があるだけとも言えます。この辺りは人によって大きく評価が変わる観光スポットと言えそうなので、その辺を考慮して龍安寺に行ってみると良いかもしれません。
見所3 方丈
石庭を眺めることができる方丈は重要文化財に指定されています。
龍安寺の伽藍は非公開のものが多いですが、方丈は石庭を眺められるように縁側の部分だけ自由に出入りできるようになっています。
かつては、狩野派の絵師が描いた襖絵が71枚ありましたが、明治維新後の廃仏毀釈の影響を受けて売却されました。
現在の襖絵は昭和28年(1953年)から皐月鶴翁が5年がかりで描いた襖絵です。
この襖絵は部屋の外からも見ることができます。
見所4 勅使門
勅使門は重要文化財に指定されています。昭和50年(1975年)に英国エリザベス女王が来日し、龍安寺を訪れた際に使われました。
見所5 納骨堂・パゴダ
納骨堂周辺は季節によって桜や梅が見られ、静かな雰囲気の中に華やかさがあります。パゴダとはミャンマーの仏塔のことで、龍安寺にもパゴダがります。これは「大東亜戦争ビルマ方面戦没者慰霊之碑」と書かれており、大東亜戦争時にビルマ(ミャンマー)で戦った戦没者の慰霊のためパゴダがあるようです。
2. 龍安寺の四季
桜で有名な龍安寺。なので、龍安寺の観光は春がおすすめです。逆に冬は木々も葉が少なく大きな池も殺風景に感じる人も多そうです。
季節1. 龍安寺の冬は梅が咲く
冬に龍安寺に行くとかなり殺風景な風景になっていますが、梅が咲く春に近い季節になってくると少しばかり梅が咲きます。
少しなので京都の梅スポットとは言えませんが、冬の渋い龍安寺の中で明るい色の花が楽しめるのは貴重かもしれませんね。
季節2. 龍安寺の春は桜が美しい
龍安寺は桜が鏡容池以外にも咲いており、駐車場から店付近でも綺麗な桜などを見る事ができます。
桜(サクラ)・木蓮(モクレン)・木瓜(ボケ)・雪柳(ユキヤナギ)などが咲きます。
季節3. 苔の緑も美しい
龍安寺の納骨堂から鏡容池へ向かう途中の道は苔や木々の緑が美しい場所です。
3. 龍安寺その他の情報
その他1. 龍安寺の御朱印
観音堂のところにある納経所でご朱印をいただくことができます。龍安寺の御朱印は『大弁財天』と書かれています。一枚300円です。オリジナルの御朱印帳は、吾唯足知の御朱印帳で紺色で、金文字、1,200円です。
その他2. 龍安寺を含むおすすめルート
金閣寺→龍安寺→仁和寺→妙心寺→花園駅というルートがおすすめです。
特に桜の時期には龍安寺と仁和寺で桜が楽しめます。しかし、金閣寺から妙心寺までは約3キロの道のりなので、夏場は汗をかきますね。桜や紅葉の時期になるとバスも混むので、集団でいる場合はタクシーが便利です。
また、徒歩圏内に等持院という足利将軍ゆかりの小さなお寺もあり、庭や足利将軍像を見る事ができます。時間や体力に余裕があれば、そちらにも行ってみると良いと思います。
その他3. 龍安寺へのアクセス
- 住所:右京区龍安寺御陵下町13
- バス:京都駅からバスで市バス50,55,59系統に乗車、立命館大学前で下車。
- 電車:京都駅からだと花園駅が最寄り駅になります。花園駅から妙心寺→龍安寺という歩きで行くルートは少し遠く感じるかもしれませんが、妙心寺の観光も兼ねると飽きずに歩けると思います。
4. 龍安寺の歴史
龍安寺は、臨済宗妙心寺派の寺院で、宝徳2年(1450年)に応仁の乱の東軍総帥でもあった細川勝元が創建した禅寺です。
初代住職は義天玄承(玄詔)で、義天玄承は妙心寺8世(5祖)住持でした。龍安寺と妙心寺が位置的に近い事からも繋がりがわかります。
また、義天玄承は師の日峰宗舜を開山に勧請し、自らは創建開山になっています。
創建当初の寺地は現在よりはるかに広く、京福電鉄の線路の辺りまでが境内であったと言われています。
応仁の乱の戦火によって焼失してしまいますが、明応8年(1499年)に細川勝元の子、細川政元らによって再興されました。
山号は大雲山、御本尊は釈迦如来。
平成6年(1994年)12月には古都京都の文化財として、世界文化遺産に登録されました。