智積院は宝物館の長谷川等伯、そして紫陽花が見どころ
智積院は三十三間堂などと近く、七条駅の観光ルートに位置するお寺です。真言宗の寺院であり、梅雨時には綺麗な紫陽花を楽しむこともできるお寺でもあります。また、智積院の宝物館には有料で長谷川等伯の襖絵や、名勝庭園など、歴史的な芸術も楽しめる観光スポットの一つです。
智積院の歴史
智積院は真言宗智山派の総本山。末寺の数は全国約3千、檀信徒数は約30万人という大規模寺院ですが、その末寺を知ると格もわかりやすいとでしょう。有名なのは下記の寺院。
成田山新勝寺 | 川崎大師 | 平間寺 |
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高尾山薬王院の大本山 | 高幡山金剛寺 | 大須観音宝生院の別格本山 |
真言宗と智積院の歴史
平安時代
真言宗は弘法大師空海上人が開いた宗派ですが一時勢いが衰えます。
戦国時代
それを再興したのが興教大師覚鑁上人(こうぎょうだいしかくばんしょうにん)。
最盛期は戦国時代で、坊舎2千7百余、住侶6千、所領70万石という規模。この当時の智積院は真言教学の学問所という位置付けにありました。
天正13年(1585)に興教大師覚鑁上人住んでいた根来寺を豊臣秀吉が焼き払らったため、智積院の学頭(最高指導者)であった玄宥僧正がや多くの学僧が高野山、京都へと逃れました。このため、智積院には弘法大師や興教大師の像などがあるのが理解できるでしょう。
また、覚鑁上人は高野山と対立するようになるなど、弘法大師→興教大師、そして豊臣秀吉までの歴史の流れを知ると、智積院やその他の真言宗のお寺をより楽しめるようになります。
長谷川等伯の国宝障壁画
智積院は無料で見ることができる場所と有料(大人500円)になっている宝物館があります。その一つの見どころとして長谷川等伯の障壁画があります。
長谷川等伯は狩野派に対抗し、独自の画風を確立脚光を浴びた人物です。ちなみに狩野派は桃山時代で最も有名な流派で、その長谷川等伯が描いた祥雲禅寺の障壁画が室内の壁四方に飾られ、中央にミニチュアが置かれている造りになっています。
智積院に現存するのは下記のもの。
楓図(かえでず) | 桜図 | 松に秋草図 |
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松に黄蜀葵図(まつにとろろあおいず) | 雪松図 | 松に立葵図 |
色々あってわからないという人は、桜図と楓図に注目してみましょう。この2つは日本の障壁画を代表するものと言われており、さらに親子のストーリーがある絵なので、印象に残りやすいからです。桜図は長谷川久蔵(はせがわきゅうぞう)という長谷川等伯の子の作品で、25才で描き、26歳で死去しています。
この若くして亡くなった息子が描いた桜図に対して、翌年、父である等伯が楓図を描いています。そのような部分がわかると、特に草木による生命力を感じさせる楓図などの絵を見ながら、長谷川等伯や長谷川久蔵が、どのような気持ちで桜図や楓図を描いていたのかが感じられるのではないでしょうか。
名勝庭園
智積院の庭園は利休好みの庭と伝えられる庭園があります。中国の廬山を模って造られたと言われていて、とても和む庭になっており、観光できた人々が畳に座りながら、ゆったりと庭を眺めているのを見かけます。
黙っているとほぼ音がしないので、水の音や鳥の声、たまに鯉が跳ねる水の音だけが聞こえている状態という気持ちの良い庭園鑑賞のできるスポットになっています。京都にはいくつも庭園がありますが、智積院の名勝庭園は庭の造りが面白く、丸い刈り込みが連なり、山のような形を表しています。
見頃はツツジやサツキの咲く時期なので、一度足を運んでみるといいでしょう。また、庭だけを楽しむ造りではなく、建物内を歩きながら襖絵なども楽しめる造りになっていて、カラフルな布が風になびく廊下なども印象深く、思い出に残りやすいように思います。
智積院の紫陽花
智積院は梅雨の季節になると紫陽花がたくさん咲くので、紫陽花の名所とも言えそうですが、そこまで有名でもないので隠れ名所に近いかもしれません。智積院の金堂の裏手側にお墓があり、その周りに紫陽花が咲いています。紫陽花が密集して咲いているので見栄えもします。
また、金堂の脇にも紫陽花が咲いているので、そちらも楽しめます。6月頃に京都観光に行く際は智積院に紫陽花がある事を忘れずに。
智積院の年中行事
1月1日 | 修正会 | 1月15日 | 新年祝祷会御昆布式 | ||
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2月節分当日 | 節分会 | 2月15日 | 常楽会 | ||
3月21日 | 正御影供 | ||||
4月8日 | 仏生会 | 4月17日 | 玄宥僧正誕生会 | ||
6月15日 | 青葉まつり | ||||
8月1日~2日 | 暁天講座 | 8月15日 | 盂蘭盆会 | 8月31日 | 総供養法要 |
12月10日~12日 | 冬報恩講 |
智積院へのアクセス
〒605-0951 京都市東山区東大路七条下る東瓦町964
電車でのアクセス
最寄駅は七条駅。京都駅(JR奈良線)→東福寺(京阪本線)→七条→歩いて10分程度で智積院へ到着。七条駅から三十三間堂や京都国立博物館方面へ歩き、坂を上って行くと智積院に突き当たります。
智積院の入り口は突き当たりを右に歩いて行くとあります。また、突き当たりを左に歩いて右に曲がっても小さな入り口があり入れます。
バスでのアクセス
JR京都駅よりバス206・208系統で約10分、東山七条で下車。
智積院の御朱印
智積院は巡業でも知られている寺で、京都十三仏霊場1番・近畿三十六不動20番・真言宗十八本山とそれぞれ巡礼する方に合わせて、御朱印があるのです。ちなみに、智積院の御朱印もあるので、合計4種類の御朱印があるのです。
御朱印を集めている方には嬉しいお寺です。御朱印も一つ一つやはり違うので楽しみにしてくださいね。御朱印に興味がなかった方でも、智積院から集め始めたという声もあるのです。
面白いのが、智積院では「写経」「写仏」が出来るのです。写経は、毎月21日に行われているのですが、そこまで待てない方や写経というのはどんな感じなのかという方のためにHPで、写経・写仏のお手本をダウンロードして、体験することが出来ます。しかも、写経・写仏したものは智積院へ郵送で納めることが出来るのです。
御朱印に写経・写仏と興味をそそられる「智積院」は、三十三間堂にも近いですし、三十三間堂同様、豊臣秀吉が関わっているお寺です。この一帯にある神社やお寺は豊臣秀吉ゆかりの場所が多いため、豊臣秀吉を知るとより楽しめるでしょう。
智積院は豊臣秀吉の子供・捨丸が幼くして亡くなり、その慰霊にと建てられた経緯もあるお寺なのです。
智積院で宿泊して、京料理を堪能できる!
智積院では、宿坊と言われる宿泊施設があり、一日お寺体験が出来ます。これがリーズナブルで、しかもお得なのです。
ただ、お寺の一日体験なので、それなりに決めごとはありますが、気楽に体験できるので、京都観光を人とは違う観光にしたい方にはおすすめです。
基本は朝食付きで6670円ですが、夕食を付けることも出来ます。夕食は、精進料理(1620円)か京懐石(3240円)のどちらかを選ぶことが出来ます。
アメニティーも揃っていますが、唯一バスタオルがないので忘れずに持っていってくださいね。部屋は個室となっていて、門限は22時。消灯22時半となっっています。
朝は6時起床で、お寺の本堂で朝の行を体験し、なんと護摩業体験をします。それから朝食で、チェックアウトは10時となっています。